理系出身の経営者さんが書かれた本ということで、興味深く読みました。
著者はサイゼリヤの社長さんです。飲食店の運営に、理系的な考え方を導入されています。
書籍のタイトルにもあるように、自分の味覚を過信せず、実際のお客さんの行動を観察してメニューをつくっていく考え方は、あらゆる業種に応用できます。
ビジネスは科学でないといけません。仮説と観察、実験の繰り返しです。
美味しいかどうかはお客さんが決める
料理のおいしさの尺度は絶対ではありません。濃い味付けの人は薄味に不満が残ります。薄味が好きな人は濃い味は体が受け付けないかもしれません。味覚は人それぞれです。
基本的な理念をしっかり持っていれば、あとの具体的な調整はお客さんの食べ具合で決めていったほうが、良いものが生まれやすいと思います。
世界は地動説で動いています。天動説のように自分を中心とした考え方は、必ずどこかで矛盾が生じます。事実を客観的に見つめ、自分本位ではなく、他人本位の見方をすることも必要です。
異常事態こそ変革のチャンス
人は変化を嫌います。変わるには大きなエネルギーが必要だからです。しかし、周りがどんどん変化している上、自らも変わらなければ、ジリ貧は明らかです。
大きなトラブルがあって、致命的なダメージを受けても、切り替えられるかどうかです。現状復帰をめざしたところで、完全に元の状態には戻りません。どうせやるなら、新しい考え方でさらに上のレベルを目指した方が発展性があります。
「ピンチやチャンス」と考えられるかどうかが大切だと思いました。異常事態だからこそ、新しいことに挑戦できるのです。
リピーターをつくるには
お客さんに何度も来てもらうには、繰り返し食べたくなる「麻薬」のようなメニューを作ればよいという発想に惹かれました。
ただ味だけで決まるものではありません。値段やタイミングとのバランスもあります。すべての人にウケるものでもありません。
自分のビジネスで「麻薬のような商品・サービス」を作れるかどうかを、常に考えていきたいです。
利益とは社会貢献
サイゼリアでは「利益が出ないということは社会への貢献が不十分」だと考えて、徹底的に値下げしてきたのだそうです。ただ値下げするだけではなく、値下げをしても利益がでるレシピ・仕組みを作った上で提供することで、初めて社会に貢献できるのです。
自分の行っているビジネスで利益が少ない、赤字なのであれば、それは社会貢献が不十分だということです。
もしかしたら、今まで良いと考えてきた理念が、時代に則しないものになっているかもしれません。
社会に貢献していくために何が必要かを考えることから始めることで、ビジネスの本質に迫れるでしょう。
※面白い本なのですが、反応が薄かったので、再掲させて頂きました 2013/12/12
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