自分を探しに行くといって、いきなり海外に旅立ってしまう若者たち。アメリカのコピーで済んだ時代が終わり、自分自身で仕事を創り上げなければやっていけない現代では、能力を最大限に発揮できる方法を自分で見つけないといけません。
場所を変えたところで、「本当の自分」は見つからないという本書の主張には同意します。結局は日常の中で地道に努力を続けるしかないのです。手っ取り早く見つけるセミナーやツアーなど、自分探しをしている若者をカモにするビジネスの存在を、本書は痛烈に批判しています。
アイデアはリラックスから生まれる
新しいアイデアは、プレッシャーから解き放たれてたレジャーや旅行中にふとひらめくことが多いです。旅行は「自分探し」とかではなくて、純粋に休日を楽しむために行けばよいと思います。無意識で純粋な気持ちで居る時に、自分の経験フィルターをすり抜けて、新たな知見が自分に入り込んできます。
「新たな自分を探すため!」と、やっきになって海外を放浪しても、既存の自分の枠の範囲でしか物事を見れなくなってしまいます。見つけようと思うほど、視野が狭くなってしまうのです。
人生のストーリー化
実は、すでに自分の中で答えを持っていても、それを「海外で放浪中に発見した!」と話した方が、ストーリーとして面白いです。ストーリーを作るためにわざわざ海外へ放浪の旅に出る人もいるはずです。Googleが小さなガレージから始まったことを聞いて、わざわざ小さなガレージを借りてビジネスを始める人もいるそうです。成功した時に「ガレージから始まった」というストーリーを語りたいからです。
セミナーや勉強会も、自分の考えを肯定化してくれそうなものを選んで参加していませんか?自分の考えをそのまま伝えるよりも、「有名なセミナー講師の話を聞いて共感した」と言ったほうが、「権威の力」を利用して、周りを納得させやすくなります。
人々は自分の決断に「ストーリー」を与えようとしているのです。人生をプランニング、ブランディングしていく上で、有効な手法です。ところが、元々何も考えていない人が、放浪の旅に出たりガレージを借りても、何も生まれないのです。
散歩で頭を整理する
本屋で本の背表紙を眺めたり、スーパーで面白い食材を探したりして、リラックスすることで、新たな発見があったりします。別に海外に放浪の旅に出なくても、公園の周りを一周散歩するだけも、驚くほど考えが整理されます。
普段の生活の中で継続して、習慣化していかないと、人は変わりません。時間とお金をかけて、わざわざ放浪の旅に出るよりも、日々の生活の中での研鑽を大切にしていくことで、自分の生きる道が見えてくるはずです。
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