私がサラリーマンだった2005年までは、クラウドサービスはありませんでした。私の会社の机の上は、常に書類で溢れかえっていました。いま私の仕事場の机の上には、書類の山はありません。書類はすべてスキャンしてしまっているからです。
サラリーマンとしての基本的な仕事のやり方は、昔も今もそんなに変わらないはずです。劇的に変わったのは、情報収集と整理の方法です。メモや資料を探したり、過去の資料を廃棄する余計な作業から開放されて、創造的な作業にどれだけ時間を費やせるかが、これからのビジネスパーソンの勝負の分かれ目になるでしょう。
「仕事術を考える」ことで仕事力をアップする
本書では、「クラウドやiPhoneをどう仕事に活用していくか?」という切り口で、これまで自分が試行錯誤してきた、「上手いやり方」とまとめました。
その内容は相変わらず泥臭くスマートさに欠けるものかもしれませんが、少なくとも机上の空論ではなく、実際に仕事やプライベートな活動の中で使われているものとなります。
via: P3
著者は入社3年目に異動となり、これまでとは違う業務についていけず、落ちこぼれそうになったと述懐されています。著者は書籍を読んで、iPhoneやクラウドをフル活用して、徹底的な業務効率化と情報武装によって、仕事術を磨き、仕事を上手く回せるようになったということです。
本書には数多くのHack術が紹介されています。本書の方法を真似しただけでは、著者の様にはなれないでしょう。なぜなら便利な方法は新しい技術によって変わっていくからです。
まずは本書の内容を実践して身につけた後に、著者のように、何が効率的で便利なのかを日々考え続けて、自分に一番あった方法をブラッシュアップしていくことが、一番大切です。思考力を鍛え、自信が生まれ、結果的に仕事力アップに繋がります。
Clouds / Building / Peter Kaminski
本質に立ち返る
「情報マネジメントシステム」とは、情報収集⇒情報整理⇒情報活用の流れをクラウドサービスやスマートフォンなどを活用して作り上げ、情報を見方に付けるための仕組みです。
ストレスなく情報が循環するシステムを作り上げることで、気合や努力といった不確定要素に頼らない、継続的な「情報収集」と「アウトプット」の流れを作り出しましょう。
via: P32
本書のメインはEvernoteへの情報の集約についてです。情報は一箇所にまとめたほうが良いことは、昔から言われていることです。Evernoteは特に新しいことをしているわけではありません。昔から気になった資料や文献などは、コピーしてファイルに閉じておくことは、昔から誰でもやっていたことです。それを電子化して、強力なOCR機能で内容を検索できるようにしたものがEvernoteの本質です。
電子化の最大のメリットは、捨てる必要がないことです。ファイリングだと、物理的なスペースが必要になりますので、定期的に古い資料を捨てる必要があります。捨てる作業は膨大な手間と時間がかかる上に、間違えて捨ててしまって「あ、あれはどこだっけ?」なんてことが起こります。そういった無駄な作業から開放されるだけでも、生産性はかなり向上します。
テレビや電子レンジなどの家電が飛躍的に便利になったのと同じように、情報整理についてもEvernoteをはじめとしたクラウドサービスにより、本当に便利になりました。
Clouds / Steve-h
RSSリーダー整理術
ブログのRSSを購読する再にはこういったテーマを自分なりに「クラスタ」に分類し、そのフィードを「読みたいと思う頻度」で優先順位付けを行うと、情報収集がスムーズに行えます。
via: P82
RSSリーダー内のフィードを整理する方法として、「クラスタ」×「優先度」で整理する方法が紹介されていました。「ライフハック」「iPhone」といったクラスタのタグと、must、oftenといった優先度のタグをクロスでつけておくことによって、重要な情報を逃さないようにする方法です。
情報は内容よりも「誰が発信しているか」で判別したほうが確実です。RSSリーダーはTwitterやFacebookのタイムラインとは違って、確実に情報にアクセスできる貴重なツールです。Readerのタグが増えすぎて混沌としてしまっているので、シンプルに分類しなおしたいです。
本書ではこのようなHackが多数紹介されています。
Clouds / theaucitron
仕事を回せるようになった先に、目指すものとは?
結局のところ、「仕事ができる」とは、仕事を「自分ごと」として捉えることができるかどうかです。言い換えれば、仕事をしている自分に自信が持てるかどうかで決まります。
仕事とプライベートを分けずに、いつも自然体で居ることが一番だと、私は考えています。プライベートの旅行中にふと新しい仕事のアイデアが浮かぶこともありますし、会社の会議中にプライベートの生活を良くするヒントを得ることもあるでしょう。iPhoneなどのスマートフォンは、いつでもメモや情報にアクセスできる本当に便利なツールです。顔や頭を使い分けていると、それだけで負荷が増えて、リソースを無駄にしてしまいます。
私がサラリーマン時代に拠り所としていたのは、「論理思考」でした。新入社員のころはふわふわした仕事の仕方でしたが、研修で学んだ「論理思考」を意識して使うようになって、自信が付いてきたのと同時に、仕事を自分の生活の一部として考えられるようになりました。自分の考えはしっかり周りにアピールして、意見を積極的に貰い、コミュニケーションをとれるようになってから、自分がやりたい仕事ができるようになりました。
著者の北さんは、まだ20代だそうです(聞いてビックリしました)。iPhone&クラウドの徹底的な活用によって自分自身のワークスタイルを確立して、この先なにを目指していくのかが楽しみです。次の著書も期待しています。
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