放射能の数値を見てピンとくるようにする

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原発事故が起きてしまった以上、国民は一人ひとりが自分で放射能から身を守る意識を持ったほうが良いでしょう。原発反対・賛成の議論は置いておいて、とにかく私は家族を守らないといけません。

原発のウソ

本書の内容をもとに、放射線の人体への影響と危険性についての知識をまとめました。野球で言えば、打率が3割超えれば、かなり上手いバッターと判断できるのと同じで、各自治体から発表されている放射線測定値を見て、どの程度影響があるのかを、自分で判断できるようにしておきたいです。

※本記事には、個人的に行ったかなり大雑把な計算結果が含まれています。参考にしていただく際には、自己責任でお願いします。


Traffic circle on Pine Street, Boulder Colorado / richardmasoner

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放射能の制限値について

保健物理学の父と呼ばれ、ICRP委員も務めたK・Z・モーガン氏が、「私たちは当初、あるしきい値以上の被曝を受けなければ、人体の修復機能が細胞の損傷を修復すると考えていた。しかしその考え方が誤りであった」と認めている通りです。

放射能は体内の細胞やDNAに影響を与えます。確率的な現象なので、少量でも影響を与える可能性があります。「それ以下の被曝量なら大丈夫」という閾値は、本来は存在しないのです。

年間1ミリシーベルトという基準は、1万人に1人ががんで死ぬ確率の数値ですが、「それで我慢してくれ」というのが、今の法律です。これが10ミリシーベルトの被曝になると、1000人に1人ががんで死ぬことになります。

交通事故の確率は大体年間一万人に1人(年間1万人くらい)ですから、日本の法律で決まっている限度量「年間1ミリシーベルト」の死亡率は、大雑把に言えば交通事故死亡率と同じオーダーといえます。

放射能は浴びないにこしたことはありませんが、浴びざるを得ない場合は、交通事故死亡率と比較して、許容できるかを判断する考え方もありだと、個人的には思っています。※これは大人の話で、感受性の強い子供の場合は、もっと厳しい基準にすべきだと思います。


手邊計算機 / lovesx-70

何マイクロシーベルまでなら安全?

4月19日、文部科学省は福島県内の学校の「安全基準」を提示しました。それによれば、一時間あたりの空間線量率3.8マイクロシーベルト未満の学校には、通常通り校舎や校庭を利用させるとのことです。

文科省は、年間の3分の2は室内で過ごし、子どもが浴びる放射線量は屋外よりも少なくなる、との仮定のもとに計算式を作りました。

その計算式によると、屋外では、毎時3・8マイクロシーベルト、屋内では、1・52マイクロシーベルトとした場合、およそ年間20ミリシーベルトとなります。ただし、これは外部被ばくのみです。

via: 毎時3・8マイクロシーベルトって?

3.8マイクロシーベルト/時という値は、年間積算被曝量20ミリシーベルトから逆算した値だそうです。一日8時間外にいて、それ以外は屋内に居るとしたと仮定して、加重平均をとった値です。加重のかけ方など、詳しい計算方法は良くわかりません。

前述のように、本来の年間積算被曝量の限度は1ミリシーベルトです。今回の事故を受けて、20倍まで引き上げてOKという判断には、何かしらの根拠はあるのだとは思いますが、かなり思い切った設定だなと感じました。

年間1ミリシーベルト以下の積算被曝量で抑えたい場合の、空間線量率を、20ミリシーベルトから逆算して、概算してみましょう。単純な比例計算を行うと、

3.8/20=0.19マイクロシーベルト/時

0.19マイクロシーベルト/時以下の地域であれば、年間積算線量が1ミリシーベルトを超えないということになります。外部被曝のみの値ですが、大体の目安にはなると思います。


Solar Rays Hit Space Age High / NASA Goddard Photo and Video

自然界から受ける放射線量

我々人間は、原発事故などが発生していなくても、宇宙線などの放射線を自然界から受けています。その積算量は年間2.4ミリシーベルト(全世界平均)です。CTスキャンは一回で6.9ミリシーベルトも放射線を浴びます。

放射線の影響については、「自然界の放射線量と健康  「この放射線量は大丈夫?」」が詳しいです。

各地の放射線量

日本各地で、毎日のように放射線の測定されています。市町村のホームページに行けば、大抵の自治体で数値を公開しています。

国・自治体による高さ1m・0.5m計測を中心とした放射線量マップ

上記の0.19マイクロシーベルト/時と比較すれば、自分の住んでいる地域の放射線起因の死亡率と、交通事故死亡率を大雑把に比較することができます。

自分の中で判断基準を持って、日々放射線量の情報をチェックしておけば、今後さらに被害が拡大したときに、適切な判断ができるはずです。

今日のわかった

ニュースで放射能の数値を見て、ピンと来ないようでは、いざと言うときに行動を決められません。1ミリシーベルトと、0.19マイクロシーベルト/hの値は、目安として覚えておいて損はないと思います。

読書2011
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