4月に入社した新入社員が、研修を終えて各職場に配属され始めている時期ですね。
まるで僕に何かを伝えようとしているかのようだ…。いや、これは伝えてくれているのだ。新入社員のマネジメントを。
おそらく多くの新入社員が、学生時代とのギャップに苦しんでいると思います。なにをやってもチグハグに感じているでしょう。
本書では新入社員が営業先の経営者の「言葉」を聞いて、自分で気づき、成長していく姿が描かれています。
これまで以上に、「言葉」を大切にしましょう。軽はずみな発言で失った信用は、新人といえど小さくはありません。周りの話をじっくり聞いて、良く考えて、落ち着いて行動することです。仕事のやり方とは、教わるものはなくて、実際に行動して自らで気づき、感じることで身につくものです。
言葉の「礼儀」を知る
「ことばはね命よりも強いのよ」
大村社長と同じことを園長先生はいった。
「命は一度きりでしょう。でもことばは人を生まれ変わらせることができるのよ。ダメな営業マンだったあなたを、紙谷さんはことばで生まれ変わらせたでしょう」
この歳になって、人が話す「言葉の重み」を知るようになりました。自分は意識していなくても、自分の発した言葉が周りの人の人生に影響を与えていることが、身に浸みました。
ビジネスの基本とは、まず第一に相手のニーズを満たすことです。お客さんを不愉快にさせることがあってはなりません。言葉遣い一つで、喜ばせることができますし、逆にイライラさせることも可能です。
「礼儀は傷つかないために生まれた文化です。人の心はとても傷つきやすいものです。相手に与える傷以上に自分の心はもっと脆いものです。それで、相手を傷つけないこと以上に自分も傷つかないために礼儀というものが生まれました」
「わが道を行く」的な方もいるかも知れませんが、まずは、言葉遣いや礼儀などの基本的なことをしっかりやった上で、「わが道」を実践すべきです。乱暴な言葉遣いや、相手を思いやらない発言は、凶器です。人はロジックでは動きません。感情で動く動物です。いくら理にかなっているといっても、相手を尊敬する気持ちが入っていない発言に、人が耳を傾けてくれることはありません。
A World without Words / Cristian V.
言葉に「人間性」が出ることを知る
「小笠原さん、『ことば』というものは、ひとりひとりがそれぞれの一生を背負って発しているの。
だから同じ言葉でも違って当たり前なのね。ひとりひとりの『生きざま』という根っこが違えば、その根から伸びる枝も葉も違うものになります」
ことばを大切にしてくださいね。その、命より重たいことばを軽く考えてはいけません。千人の人が、万人の人が、ことばを発します。そこに、千の、万の、魂が宿っているのです
では言葉遣いに気をつければよいかというと、そんなに話は簡単ではありません。言葉使いは、簡単に変わりません。日頃考えていることがそのまま言葉使いに現れるからです。
ブログも要注意です。ブログの文章には書き手の本性がむき出しになっています。他人をおちゃらけたり、他人の文句ばかり書いている人は、実生活でも周囲に同じ態度を取っていて、煙たがられているはずです。前向きで明るい記事をポストしている人は、実生活でも多くの友人に恵まれているでしょう。
言葉遣いを変えるには、日々の考え方と行動を変えるしかありません。人を変えることはできません。けど、人は変わることができます。頭ごなしに考えを押し付けても人は変わりません。自分で気がついて、自ら行動することで、人は変われます。そして、成長していけるのです。
人のために働く
傍楽(働く)とは、誰かのために一生懸命になることをいいます。実は、自分のために頑張っている人は結構いい加減なものです。なぜなら、自分があきらめたら、すべてを投げ出せるからです。
「働くということは、自分のために働くことだ」と思っている人は多いかもしれません。商売では、自分よりもお客さんのために動く必要があります。そして、感謝をされることで、自分が満たされるのです。「感謝されるために働く」という意味では、自分のために働くと言えますが、その前提には「人のために働く」というあたり前の話があることを、忘れてはいけません。
誰かのために必死になれる人は、途中であきらめません。途中で投げ出しません。妥協しません。薬を今か今かと待っている母親。その薬がなければ死んでしまうかもしれないとしたなら、もう必死です。二十キロの荷物なんて重くもなんともありません。多分、心臓が破裂しようとも歩き続けるでしょう
人のために働けることで、初めて大人になれるのです。与えられる側から、与えることができる立場になるのです。
Embraced by Words / Robbert van der Steeg
自分の価値は自分では決められない
イメージデザイン
自分で思う「中身」より、「評判」のほうが大切である
自分の得意分野は自分が一番良く知っている。なのに、なぜこんな職場に…。っと思っている新入社員は多いと思います。自分の希望通りの配属にならず、「もう辞めようかな」と考えているかもしれません。
会社の人事部は素人の集団ではありません。すくなくとも新入社員よりは100倍人を見る目があるプロ集団です。他人の目から見て、配属された職場が現状ではベストだと判断されたのです。人の価値は自分では決められませんし、自分の自分への評価ほど当てにならないものはありません。おそらく新入社員も一年も経てば、その職場が自分に適していることを実感するでしょう。
いや、本当なんだ。その時気がついたのさ。俺とお前の根本的な違いを。仕事に対する姿勢に・・・。俺は仕事の『やりかた』ばかり研究してきた。でもお前は仕事の『あり方』しか見つめていなかった
仕事とは、見た目の派手な結果ではなくて、結果までのプロセスが重要です。新人の2-3年間は職場は関係ありません。ビジネスマンに一番必要な素養は、置かれた状況で最大の結果を出せる能力です。もちろん、長い目で見れば、脚光を浴びている職場で働いていたほうが、成果は付きやすいかもしれません。しかし、それは独り立ちしてからの話です。
どんな職場でも、成果を上げれば、周りから信用されて、さらに仕事がやりやすくなります。仕事がどんどん楽しくなっていくでしょう。そして、独り立ちできたと感じるようになってから、自分の力を生かせる職場・職種を考え始めても、絶対に遅くはありません。
人生は縁が大事です。たまたま入社して、たまたま配属された職場も、これも「縁」です。自分で自分を決め付けて、狭い視野で人生を送るのではなくて、縁を大切にして自分の可能性を広げていくことも、大切なことです。
※本書は営業の魔法の続編です。最新刊「営業の神さま~営業が進化する9つの問いかけ~」も、早く読んでみたいです。
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