私は静岡でビジネス勉強会を主催しています。地元の地域に根付いた床屋さんや電気屋さんなどがメンバーです。今度、フェイスブック初心者講座を開催して欲しいとの依頼があって、何かしゃべることになりました。
メンバーが聞きたいことは、「フェイスブックが地域ビジネスにどう活用できるか?」だと思います。そこで、フェイスブックだけでなく、ソーシャルメディアを地域ビジネスにどう結びつけることが出来るかを考えてみました。
20100408 Shinkansen 2 (Tickets) / BONGURI
ネットの基本は地方と東京の距離を近くすること
ネット・コミュニケーションの基本は、ぶっちゃけ「東京とその他の地方を結びつけること」です。東京圏には3,000万人の人が住んでいて、次々と面白いネタが生まれます。
東京圏のネタはそのまま全国区のネタにすることができるので、東京圏の人たちはあまり気にせずツイートしてると思います。地方人は違います。「この地元ネタをツイートしても、全国区では絶対に反応が無いよな~」みたいなことを考えながらツイートしている地方の人たちは多いと思います。
ツイッターなどをやっていると、フォロー・フォロアーが全国に拡散していきます。同じ道府県や市町村の人とも交流したいと思っても、マジョリティである東京圏=全国区の話題の方が豊富かつ面白いため、地域ネタは後回しになっていく状況があります。
Dashi and Hand-dancing [佐原の大祭秋祭り(諏訪神社秋祭り)] / d’n’c
地方ネタは盛り上がらない
地方の地域ネタは少ないし、つまらないものが多いです。テレビ番組のほとんどはキー局による全国放送で、地域限定の番組はごくわずかです。地方のニュース番組では「植樹祭」や「消防訓練」とか、はっきり言って、どうでも良いニュースが連日流れています。
人口が少ないこともネックです。例えば私が住んでいる静岡県は380万人弱で、日本の全人口の3%しか居ません。これでは、地方で地方ネタでバイラルするようなことは難しいです。地域ネタを全国インフラ上で扱う事自体が、そもそも無理があるのです。
ツイッターは一方通行のソーシャルメディアです。フォローしても、フォローされるとは限りません。ぶっちゃけフォロアー数勝負みたいなところがあって、自分のつぶやきに反応してくれる人をいかに増やすかが、ツイッターを続ける原動力になります。
地域だけでツイッターをしても、どうしても話題が制限されてしまうし、フォロアーの拡大も限定的になってしまい、正直面白くないのです。フォロアーを求めて、全国区に流れていってしまうのです。でも、全国区にはもっと厳しい競争があります。話題についていけず、ツイート疲れをして、結局やめてしまう地方の人は多いと思います。
地方でソーシャルメディアを活用していくには次の3つのポイントがあると、私は考えています。
- 全国区/地方区のネタを区別
- フォロアー数勝負の回避
- 面白いネタの供給
偶然にも機を同じくして、上記三つのポイントを解消して、地域ソーシャルを盛り上げてくれそうな二つのサービスが、日本に上陸して勢力を伸ばしています。「フェイスブック」と、グルーポンを筆頭とする「半額クーポンサービス」です。
[The Most Distant Course]最遙遠的距離 / garconsKe
Facebookの距離感
Facebookは実名主義のSNSで、知らない人とフレンドになることは勧められていません。一方通行のツイッターとは違って、お互いが承認しないと「フレンド」になれないため「フレンド数勝負」になりにくいのです。
広大な全国区ネット空間にいきなり放り込まれる感じのツイッターとは違って、地元地域の知り合いたちとの交流をベースに、少しずつ広げていけるフェイスブックは、これまでのリアルとネットのちょうど中間的な存在で、とっつきやすいと思います。
フェイスブックでは、書き込みの配信先を選ぶ機能があります。同地域の人だけに地域ネタの書き込みを配信したり、同地域の人の書き込みだけ読むこともできるため、地域交流がしやすくなります。
地方に住んでいると、よく知らない同じ地域の人と交流することが、逆に怖かったりします。なまじ近くに住んでいるため、付きまとわれても困るからです。その点、Facebookだと実名主義なので、安心度が増します。
Facebookには写真を公開したり、長文を書くためノート機能も整備されています。ブログとツイッターとフリッカーの機能をミックスしたようなものです。これまではネット活動に疎かった人でも、ブームに乗っかってフェイスブックから始めれば、これまでの人たちが苦労して構築してきたものを、一気に手に入れることができます。
Facebookがネット上での活動の基本インフラに化ける可能性は十分あります。世界中で5億人の人が利用している、世界標準のインフラを使いこなせることができれば、これまでの遅れを取り戻すチャンスです。
Water balloon explosion 2 / kaibara87
クーポンサービスは地方ネタの起爆地点
前述したように、地方の面白いネタは本当に少ないです。これまで地域全体が盛り上がれるネタって、高校野球くらいではないでしょうか?
ところが、地方のクチコミマーケティングを活性化させる、すごいサービスが生まれました。グルーポンを筆頭とする「クーポンサービス」です。地域ごとに期間限定で一種類だけ半額クーポンを発行します。一定数さばけないとクーポンが成立しないルールがあります。
クーポンを購入した人は、クーポンを成立させるために、ツイッターやフェイスブックで周囲に購入を勧めようとします。クーポン募集は、地域で常に一種類だけなので、話題性も十分あります。地域で勝手にクチコミが伝染していくようなビジネスモデルになっているのです。まさに地方・地域のためのサービスと言えるでしょう。
クーポンサービスの可能性は、これだけではありません。日ごろから懇意にさせていただいている、静岡県限定のクーポンサービス「ふじぽん」の鳥羽社長から、クーポンサービスの真髄は、地域の業者さんの間に入って、仕事の融通をする「マッチング」にあるという話を聞きました。クーポン販売結果がダイレクトに出るため、厳しい側面もある分、より相手のビジネスに深く入り込めるチャンスでもあるわけです。
鳥羽社長は「クーポンを販売するだけでなくて、営業の過程で得た人脈もあわせて、クーポン以上のサービスを提供したい」と熱く語っていました。地元密着のクーポンサービスが、地域ネタの起爆地点になる可能性は十分あると感じました。
ソーシャルを楽しめない人は、ビジネスにも応用できない
ソーシャルメディアは、人と人とのつながりをベースにしたものです。いきなりお金の話を持って行くと、嫌われてしまいます。お金が絡むと人々のモチベーションは一気に下がることは、心理学でも言われていることです。
初めて会ったお客様に、いきなり仕事に関する話しや商品に関する話しをしても、なかなかきちんと聞こうとはしてくれません。 なぜ、こうなるのかというと、お客様は「営業マンから売りつけられたくない」と思っているからです。
via: なぜか挨拶だけで売れてしまう営業法
店先で通りかかったお客さんと、駄々話をする感覚が重要のは、リアルの商売だけではなくて、ネットでも同じです。人は知らない人から買いたくないし、そもそも知らない人と話をすることすら面倒なのです。まずは「知っている人」になることが先決です。
facebookでコミュニケーションを楽しめていない人には、ビジネスにも、もちろん活用できません。
ゴルフなどの趣味を通して交流を広げることと同じで、ツイッターやフェイスブックでも「本気で遊ぶ覚悟」が必要です。ソーシャルを楽しめない人は、ビジネスにも応用できません。
話の中心にいることで、知り合いの知り合いから声をかけられたりしながら、楽しみながらじっくり輪を広げていく意識を大切にして、ソーシャルメディアに向き合うことができれば、きっとこれまでよりも刺激的なコミュニケーションを地方・地域でも行うことができると、私は信じています。
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