せっかく努力しても、努力の方向を間違えてしまうと、遠回りしてしまいます。方向を間違えないためには、自分では当たり前を思っていることが、本当に正しいかどうかを、よく考える必要がありあます。
とはいっても、自分で、自分の思考や行動を検証をするのは、難しいですよね。
本書は、世の中的に常識と思われていることでも、考え方によっては間違いであることを示しながら、「常識を疑う思考法」の取っ掛かりを与えてくれる内容になっています。
私の実感とマッチしている箇所を、いくつかピックアップしてご紹介します。
「デキるヤツは遊びもデキる」は本当か?
仕事が趣味というと、あまりいい印象はないかもしれませんが、一日の大半を費やす仕事が趣味のようにあなれば、楽しいことをして、なおかつお金をもらえるという、一石二鳥の生活になります。
それに、つねに情報感度の高いアンテナが立っていますから、能力が高まるの速いというわけです。
サラリーマンだと、さすがに「楽しいことをして、なおかつお金をもらえる、一石二鳥の生活」は難しいかもしれませんが、私自身がサラリーマン時代に身に着けた処世術は、「オンとオフの区別をつけない」ことでした。
仕事中も趣味や副業のことを考えていたし、プライベートの旅行中でも、会社の仕事のことを考えていました。
いつも自然体で居ることが、自分の能力をフルに出せるということを、経験的に知ったからです。
オフィスの机で頭を抱えているよりも、休日にキャンプにでもいって、気の合う友人たちと話している間とかに、「ふっ」とひらめくことの方が多いのです。
ロジカルシンキングを学んで、賢くなった気になってはいけない
シャ乱Qのボーカルであるつんく♂氏は、プロデビューしたものの、CDがまったく売れず、デビュー2年目で解散の危機に。「CDが売れるためには、有線放送で一番になることが必要だ」と考えて、メンバー全員で全国の有線放送会社に電話を一日中かけまくったそうです。
そうしているうちに、少しずつ曲が流れるようになって、気がついたときには、100万枚以上のCDが売れていたそうです。
彼の発想はこうです。
CDが売れるためには、どうすればよいか?⇒有線放送で一位になればヘビーローテーションされ、CDが売れる⇒そのためには、有線放送の担当者に自分たちのことを知ってもらわなければならない⇒だから電話をかけてアピールする。
実にシンプルで明快です。
結局のところ、ロジックは現状を分析することしかできません。分析はほどほどにして、実際に動いて得た結果をフィードバックして、考えながら進めたほうが、効率が良いのです。
私は「やりたいか、やりたくないか」で判断することが多いです。ロジックとは、どの選択肢が正しいかを導くものではなくて、自分がやりたいことを正当化するために、人にわかりやすく説明するためのツールだと思っています。
なぜなら、自分が本当にやりたいことは、なんとしてでもやり遂げるからです。下手なロジックを使って導き出した選択肢よりも、直感的に「これはいける」と思うものを選ぶことを、私はお勧めします。
マーケットインから、ヒット商品は生まれない
「ニーズとシーズのどちらを優先したらよいか?」よく話題にでることです。私は断然「シーズ派」です。
なぜなら、ニーズを調べた上で商品やサービスを作ったところで、目新しさがありません。ユーザーの声を元に作ったものですので、ユーザーから見れば目新しさが無いのは当たり前ですよね。
考えてみれば当然です。調査やヒアリングで何が売れるのかがわかるなら、市場調査を請け負う会社は大儲けしているはず。
提供者自身が、「これは自分が欲しい!」と熱望するようなサービスこそが、「あ、こういうのが欲しかった」という需要を生み出せると思っています。
ちいさな改善も大切ですが、市場をひっくり返すのは、10人中10人が「いいんじゃない?」という商品ではなくて10人中9人が「いらない」といっても、一人が「猛烈に欲しい!」と狂喜乱舞させるような商品ではないでしょうか?
みんなにいい顔をするのは簡単ですが、それでは見向きもされません。「どっちも重要です!」なんて得意顔で叫んでも、「あたりまえだろ!」といわれるのがオチです。
世の中の関心を集めるのであれば、エッジを効かせる必要があります。
好きな芸能人ランキングの上位者の多くは、嫌いな芸能人ランキングの上位に入ってきます。ポジティブな意見は採用して、ネガティブな意見はスルーできる力が必要です。
キャリアパスやキャリアプランを厳密に決めない
将来の目標はキッチリ決めないで、目の前にある課題を全力で取り組むほうが、選択肢が広がって。面白いと思います。
なぜなら、仕事を進めていくうちに、新しい発見を得たりして、進むべき道はどんどん変わっていくからです。
目の前の仕事を必死にこなし、壁にぶつかってウンウンうなっていると、不思議なことに、誰かが引き上げてくれたり、新しい仕事を紹介してくれたり、取り組む課題が見えたりして、次の展開が見えてきたのです。
最近は就職難だと聞いていますが、我々団塊ジュニア世代の就職時は、もっとひどかったですよ。
就職浪人なんてせずに、中小の責任ある仕事を任せてもらえる企業に就職して、キャリアを磨いたほうが私は良いと思います。20代の一年を棒に振ることは、かなりの無駄ですよ。
現在ウソ用語辞典
各章の終わりに「現在ウソ用語辞典」があります。かなり斜に構えていて面白かったです。ひとつだけ紹介して、本書の書評を〆させていただきます。
稟議書:
部下は「上司がいいと言うから」、上司は「あそこの部長がいいと言うから」、役員は「部下がいいと言うから」、責任を押し付けあうためのシステム
コメント