どうやら、「文系職の方がお給料が高い」という定説は、考え直したほうがよさそうです。
京都大学経済研究所の西村和雄特任教授らが、理系と文型を卒業した人の年収を比較したところ、通説に反して、理系学部出身の方が高収入だった。
via: 日経新聞2010.9.20
週末の日経新聞のコラムによれば、京大の先生が無作為に選んだ一般の大学卒を調査をしたところ、理系の方が約100万円高かったそうです。しかも、すべての世代で、理系の年収が文系を上回ったそうです。
ゼネラリストからスペシャリストの時代へ
1980年後半のバブル時期は、金融業界は35歳で年収1000万程度だったのに対して、製造業は600万円程度。
金融系には文系、製造業には理系が相対的に多いことから、文系が高給取りと言われるようになったのではないか、ということです。
これは、理系/文系の格差ではなくて、業種間の差ですね。確かに。
ちなみに、文系の方が、平均年収は低いけど、ばらつきが大きいのだそうです。給料が低い人が多いけど、たくさんもらっている人も多い。理系はばらつきが小さい。
これまでは、企業の経営陣、つまり社内の偉い人は、文系出身者が多かったからだと思います。
何を作っても物が売れた時代は、技術よりも、組織間の調整・折衝をスムーズにできる「ゼネラリスト」が重宝されてきたと聞いたことがあります。私が勤めていた企業でも、文系職は転勤が多かったです。
しかし、今はスペシャリストの時代です。
物が売れない現代では、新しい売れる商品を生み出せる人が先頭になって指揮する必要があると思います。
あくまで一般論ですが、文系の学生と比較すると理系の学生は大学時代により多く勉強しています。実験や実習があるからです。しかもだいたいの実験というものは、一度でうまくいくことは稀。うまくいかないから、なぜ失敗したのかを考え、次はやり方を工夫する。理系にはそういった試行錯誤がつきものという印象があります。
最近の企業の人事は、理系学生を重宝する傾向にあるそうです。理系学生というのは、実験で色々な失敗や困難を乗り越えているため、考える力が身についている傾向が強いのでしょう。
企業が求めているのは「自分で考えることのできる人間」であり、「課題発見能力と課題解決能力を持った人間」と辻さん。ならば、学生時代からそのトレーニングを積んでいる理系の出身者を採用するのは、企業にとっては当然の帰結なのかもしれません。
技術部と営業部って、お互いを「モノを作れないくせに」「モノを売れないくせに」って、思っているんでしょうね。
でもよく考えると、売れる物を作らなければ、商売のしようがありません。技術者は自らが企業の利益の源泉であることを、もっと自覚するべきだと思います。
商売は現場で動いている
今や、プロジェクトXなどの、現場の人のドラマが人気番組になる時代です。
シャープの液晶テレビは、「亀山工場モデル」といって、高品質の証として生産工場名をブランド化していました。
現場の技術者の生の声が売る力の源泉になってます。技術者自身が営業しないと売れない時代なのです。
IT化が進んで、コミュニケーションが効率化してくれば、部課長のような管理職は必要なくなるでしょう。
実際に、Softbankなんて、孫社長自身がツイッター上でクレーム対応してるし。あれでは、サポートや営業の立場がないですね。
孫さん自身も、学生時代は自らで発明して特許を出してビジネスを興した経歴をもつ、技術志向の方ですから、黙っていられないのでしょう。でも、改善はフルスピードで行われますね。
自ら商品を開発できない、もしくは語れない社員は、必要なくなるかもしれません。
人の行く道の裏に花あり
だからといって、全員理系を目指しなさいというわけではありません。文系だって、優秀な人はたくさんいますし、重要な仕事をしている方はたくさん居ます。
私が思うに、文系の専攻を学びたくて、文系学科へ進学するならともかく、数学や理科が苦手だからといって、文系に逃げるのはどうかなと。
これはまだマシな話しで、もしかすると、
「文系の方が楽な上に給料も良い」
「理系はモノ好きが行くところ」
と、周りから吹き込まれて、安易に進路を決めた人がかなり居そうで怖いです。
でもよく考えれば・・・、理系の方が人数が少ない上に、日本は技術立国でメーカーが多いため、理系の就職先はいくらでもあります。
競争原理からいって、理系の方が圧倒的に有利であることは、冷静に考えれば、中学生でもわかる話です。
もし「しまった!」と思い当たる方がいれば、お子様や周りの人には、間違った情報が伝わらないようにして、「自分は何になりたいのか、何をしたいのか」を、自分自身の頭で真摯に考えてもらいたいですね。
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