仕組みやマニュアルと聞くと、個人のアイデアや創造性をつぶして、ロボットのように仕事をするような光景を想像してしまいます。
無印良品には、2,000ページにもなるマニュアルがあり、全社でノウハウが共有されているそうです。
無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい (角川書店単行本)
基本的な部分はノウハウに沿って行動し、その上で個人の創造性を活かしたほうが、基本部の運用に迷わずにすむため、創造性をより効果的に発揮できるのです。
努力が成果に結びつく仕組み作り
いまの日本には、経済状況が厳しいなかでも、努力に努力を重ねているビジネス・パーソンがたくさんいます。
しかし、そのような「努力」が、正しく「成果」に結びついていないケースが多いように感じています。
リーダーは、「努力をすれば結果を出せる仕組み」を考えなければならないのです。
社会人を長くやっていると、成果に結びつかない仕事が増えてきます。「●●市に新店舗を建設すべきでない理由書」のような、一件仕事のように見えて、なにも成果に繋がらない仕事は意外とあるものです。
水泳はがむしゃらに腕を掻いただけでは、前に進みません。水を掻いた分だけ前に進ませるには、効率的なフォームが必要です。それと同じで、仕事もまずは仕組み作りが大切です。
仕事の目的・目標を整理して、頑張った分が確実に評価される仕事を確立するのです。
上手くいった方法を徹底的に学ぶ
どんな作業にも「うまくいく法則」があります。それを見つけ、標準化するのです。
上手くいく方法を見つける一番手っ取り早い方法は、上手くいっている人の方法を真似することです。ゼロから考えるよりは圧倒的に早くて有効です。
もちろん真似をするだけでは、成長は限定的です。しかし、真似をしてでも動き出すことによって、見えてくる景色は違ってくるはずです。その過程で自分の色を加えていけばよいのです。
営業の職場であれば、契約を多く取っている人のノウハウを、職場全体でシェアしても良いでしょう。しかし、ノウハウを公開する側にメリットがある仕組みでないと本当に役立つノウハウは出てきません。契約数ではなくノウハウを提供した回数も査定に組み込むなどの体制つくりが必要です。
ミッション・バリュー・ビジョンを明確にする
自然界にある色と天然素材を使い、シンプルなものをつくるというブランドの根幹に当たる部分を変えてはいけなかったのです。
いくら上手くいくといっても、何でもやれば良いというわけではありません。会社のミッション・バリュー・ビジョンに沿った形で行動をしていかないと、社員の努力のパワーが分散してしまいます。
企業の利益は何か?それは「信用」です。信用があるからこそ、人々はお金を払って商品やサービスを購入してくれるのです。
ミッションを明確にしてビジネスをしていると、ミッションに共感してくれる人が必ず現れます。ファンが増えてくことで、信用、ブランドの蓄積に繋がっていくのです。
努力が成果に結びつくとは、言い換えれば、やった仕事が効果的に信用として蓄積されることを意味するのです。
商売とは科学である
経営にまぐれはない。これは私が経営者になってから、つくづく実感していることです。
上手くいく方法を徹底的に繰り返せば、商品は売れ続けます。その方法を水平展開すれば、さらにたくさん売れます。商売とはバクチではありません。再現性のある方法を繰り返して、確実に利益を積み上げていくことです。
無印良品では、社員に自分たちに「上手くいく仕事のマニュアル」を徹底的に作らせて、全社で共有することで、水平展開をして大きな利益を積み上げているのです。
もし上手くいかない場合は、マニュアルに立ち返って、何が不足なのか、間違っているのかを検証することができます。問題が見つかれば、マニュアルを見直して修正することで、仕事の精度は上がっていきます。
もちろん、アイデアを創作するためのひらめきなども必要です。そこで、無印良品では残業を禁止して、プライベートの時間を充実させて、アイデアの誘発を狙っているそうです。
良いアイデアは会社の机に座っていても浮かんできません。旅行先の街中で気がついたちょっとしたことからアイデアが生まれたりします。
無印良品は「上手くいく方法」を集結することで動いている会社なのです。
自社の業務にムダが多いと感じている方に、お勧めします。
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