一昔前のテレビ局の社員さんであれば、「自分たちが社会を動かしている」ような感覚を持っていたでしょう。現在もテレビの力は強力ですが、昔のような神通力はないように感じます。
広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。
裏を返せば、中小企業や個人のスタートアップに、チャンスが広がっているということです。自分が良いと思う商品・サービスを企画して、ユーザーと真摯に向き合いながら作りこんでいき、ソーシャルメディアなどを駆使して広める。
目の前の一人を動かせれば、10万、100万、1,000万の人を動かせるかもしれません。
既存の方法は通用しない
はっきり言おう。
コミュニケーションやメディアに関わるビジネスの世界では、政権交代が起こっている。
今や、「主権」は消費者サイドへ移ってしまったのだ。
インターネットが普及して、自分が必要な時に欲しい情報だけを得られるようになりました。一人一人が情報を自由に取捨選択しているのです。昔のテレビのように、一度に同じ情報を国民の多くに流すことはできなくなりました。
逆に、中小企業や個人のスタートアップにもチャンスが生まれているということです。以前は大手でしかできなかったことが、ソーシャルメディアなどを利用して、多くの人々にリーチできるようになったからです
広告についても、人々はより敏感になってきています。人というのは、とにかく売り込まれるのが大嫌い。広告であることを隠して芸能人がブログで商品をアピールすると「ステマ」扱いとなる時代です。
これからはステマのような小手先のテクニックは通用せず、お客さんと真摯に向き合い、お客さんが本当に求めている物を提供して、信頼を積み重ねていくしか方法はなくなっています。
リスクを取る
リスクをとり、恥をかき、失敗する「覚悟」のない人間、人間のココロへの「洞察」のない人間が、どれだけ手法やテクノロジーに通じてみたところで、人を動かし、財布を開けさせ、社会を変えるムーブメントを作り出せるはずなどないのだ。
最近、自分のブログを炎上させて、多くの注目を集めることを生業にしている方がいます。社会に持論をぶつけて、それを周りの人が得意になって叩く構図です。
ポリシー的に受け付けない人は多いと思います。しかし、自分の意見を紹介しているだけなので、別に構わないと思います。法に違反しているわけではありません。そういう芸風の芸能人さんも居ますよね。
問題提起をして、それを周りが突っ込むというエコシステムが出来上がっています。周りの人は得意になって叩くんでしょうけど、叩かれることによって、ブログ主は更に注目を浴び、知名度が上がります。
結局、安全なところから石を投げて得意になっている人は何も得られないのです。リスクを取る人だけが上に行けるのです。
一人を動かすことから
あらためて思うのは、たくさんの人を動かす原点は、やっぱり「ひとりを動かす」ことにあるんじゃないか、ということだ。
本書で述べた「ココロの沸点」が、たったひとりにでも生まれなければ、永遠に1000万人や10億人が動くことはない。
自分が本当に良いと思うことを、徹底して真摯に取り組むことが、これからの時代のベースになってきます。
興味を持ってくれるひとは近所に1-2人しか居なくても、ソーシャルメディアを駆使してアピールすれば、全国なら1万人くらいの賛同者を集められるかもしれません。
目の前の一人を動かすことができれば、道は開けてきます。
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本書では、1万、10万、100万、1,000万、1億人、10億人と、オーダーごとの人の動き方に関する考察が、対談形式で書かれています。ゴルフのクラブに例えた説明が面白かったです。
「人々が動く理由」を知って、自分のビジネスと照らし合わせることで、これから何が必要かを考えるきっかけになりました。
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