マラソンは「旅」である

旅は面白いです。どこへ行っても新しい発見があります。

しかし、遠くに行かなくても「旅」を感じることはできます。マラソンレースも、42.195kmの「旅」です。

新しい発見、不安、苦悩、達成感。

海外に行かなくても、非日常を味わうことができます。

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海外に行くだけで、経験したことがない感覚

旅を辞典で調べると「自宅を離れてよその土地へ行くこと」とのことです。少し拡張すると、「慣れたフィールドを離れ、経験したことがない感覚を得ること」ということでしょう。

海外の見知らぬ街の路地に立つだけで、見たことがない標識や看板が目に入ってきます。方向感覚が狂って、「どっちだっけ」と不安になります。

綺麗な景色を観たり、売店のおばさんと現地語で挨拶を交わしたり、雑踏の中を一人で歩くときにも、いつもはない感情が心の中で去来することもあるでしょう。

海外に身をおくだけで、経験したことがない感覚が得られます。それが「旅」の醍醐味です。

マラソンも「非日常」

マラソンレースは時間にして3-5時間。旅行にしては時間は短いですが、距離が42.195kmあります。この距離の長さが、時間を濃密なものにします。

いつもは車で通りすぎてしまう道を走ると、まったく別の景色に見えます。登り坂を登り切った先に、綺麗な風景があると感動します。毎日走っている道でも、走力の限界ギリギリで走れば、見える景色はぼんやりと速く過ぎ去っていきます。

沿道のおばちゃんから「頑張って!」と声をかけられると、思わずホロっときます。一番キツい30kmの区間は、「なぜ走っているのか?」という本質的な命題にさかのぼることもあります。

40km以上の距離を走る続けること自体が「非日常」なのです。レース中に眼や耳にはいるものすべてが、経験したことがない感覚になります。

走る「旅」も人間力を育てる

苦しかった42kmも、ゴール直前になるとちょっとさびしくなります。ああ、今回のレースも終わってしまうのかと。上手くいったレースも、いかなかったレースも、必ず自分を強くしてくれます。

海外旅行から帰ってくると、日本の街並みが少し違って見えませんか? 同じように、マラソンを完走したあとの視界は、すこし広がったように感じます。

世界中にはまだ行ってみたいところがたくさんあります。そして、マラソンをすれば、身近なところで濃密な旅ができます。

旅は人を成長させると言われます。マラソンは体力向上だけでなく、人間力も育ててくれます。

マラソンは「旅」である。

自分より速いランナーに見えている地平線を、私も見てみたいです。

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