災害が起きた地域で、小学校などの避難所に住人が避難している様子を、テレビのニュースなどで見ることがあると思います。
自分が住んでいる地域で災害が起きたら、まず避難所に向かえば良いと考えている方が多いかもしれません。
それは間違いです。
先日、私が住んでいる静岡市で、防災活動に携わっている人から話を聞いてきました。避難所に行っても、ほとんどの人は入所を断られるそうです。
その理由とは?
避難所に入れる人は決まっている
学校の体育館などが避難所として指定されています。しかし、よく考えてみてください。地域の人全員が体育館に入れますか? 学校の入学式の様子を思い出せばわかります。子供と父兄だけでいっぱいですよね。
私が住んでいる静岡市の規定によれば、避難所とは「危険予想地域」に設定されている人たちが避難する場所と定められています。危険予想地域とは、津波や川の氾濫、土砂崩れなどの災害が起きやすく、有事の際に自宅にいると危険な地域のことです。ハザードマップなどを見れば、自分が住んでいる地域が危険予想地域かどうかはわかります。
よって、危険予想地域外の人が避難所に来ても、基本的には受け入れてくれません。
他に、家屋が倒壊して家に戻れなくなったり、旅行や出張先で被災して帰宅できなくなった帰宅困難者は、避難所に入れます。つまり、避難所とは、帰る家がない人が待機する場所なのです。
災害時は自力でなんとかするのが基本
では、避難区域以外の人たちはどうすればよいかというと「自力でなんとかする」が基本です。家屋の倒壊の危険がなければ、自宅でライフラインの復旧を待ちます。
避難所に行っても、食料はもらえません。水や食料は、自分たちで備蓄しておきます。目安は一週間分です。なぜなら、ライフラインは最低一週間で復旧させるという目標があるからです。
国や自治体は何にもしてくれないのか?と思うかもしれませんが、何千、何万の人が被災した場合、一人ひとりに手厚いケアなんて現実的に不可能です。結局、自分の身は自分で守るしかないのです。
ご近所の連携で乗り切る
自宅避難で乗り切れればよいですが、食料やミルクなどが不足する場合があります。支援が欲しくて、自治体に個人で連絡しても対応してくれないでしょう。個々に対応している時間はないからです。支援は、地域で取りまとめて上に申請します。どこに地域にも災害時の組織が決まっているはずです。
災害時には、消防署や自衛隊が救助に来てくれますが、規模が大きくなると、全部には来れません。家族やご近所さんから救助されるケースが多いそうです。
つまり、災害時には、ご近所さんとの連携が不可欠なのです。町内会には必ず入り、地域の活動に積極的に参加して、ご近所さんとの交流を深めておくことが大切です。
【参考】
【追記】避難所と避難地の違いについて
ご指摘ありがとうございます。
広域避難地、一時避難地との違いを説明しないと危険があっても行ってはいけないのかと思い込む人がいるから、こういう煽りタイトルは危険を広めるだけです https://t.co/QW7Kgebsbn
— 堀 E. 正岳(ほりまさたけ) (@mehori) 2016年4月14日
避難所は、避難地とは違います。すでに参考資料として掲載している通り、静岡県庁サイトの「避難を知っておこう『「避難地」と「避難所」の違い』」によれば、
- 避難地 : 主に警戒宣言が発令された時、津波、山・がけ崩れの危険から逃れるための事前避難先(屋外)
- 避難所 : 被災後に自宅を失った人、自宅に戻れない人が一時的に共同生活を送る場所(屋内)
です。例えば津波警報が出た場合、真っ先に逃げるべき先が「避難地」で、家が流されて、帰宅できなくなった人に提供される生活する場所が「避難所」です。
避難指示や警報などが発表されたら、近くの避難地に一目散に逃げるべきです。
【参考】
【追記その2】熊本地震について
本記事は、2016/4/14の朝にポストした記事です。上記の【追記】も、2016/4/14の昼に書き加えました。そして、夜に熊本地震が起きました。
私は静岡市に住んでいます。大規模な東海地震が地震が起きるとされている地域なので、東日本大震災以後、定期的に災害に関する記事をポストしています。
熊本で被災された方々が、早く元の生活を取り戻せるよう、願っています。そして、その他の地域の方々も、備蓄の重要性やご近所さんとの連携の大切さを、もう一度確認してほしいです。
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本記事は、静岡市の防災規定に基づいた話です。地域によって規定は違うところはあると思いますが、基本的な考え方は同じだと思います。もし間違いがあれば、@kankichiまでお知らせください。
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