最近、FIREやサイドFIREといった言葉をよく目にします。FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、「経済的自立」と「早期リタイア」を意味する言葉です。
私自身は50歳代となり、アーリーリタイアを考えられる年代になってきました。50歳代になれば、そろそろリタイアという選択肢は理解できます。しかし、最近は、20歳代や30歳代の人たちがFIREを目指すという話を、よく見聞きするようになりました。
若いうちからしっかり資産形成をして、人生のリスクに対策をすることは、たしかに重要です。しかし、20-30歳代という若いうちに働くことを辞めて、完全にFIREしたり、サイドFIREするような話を聞くと、なんかこうモヤモヤしてました。君たちは本当にそれで良いのか?と。
きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」
本書を読んで、私のモヤモヤを解決することができました。お金だけ持っていても、払う相手がいなければ、お金を持っている意味は無いのです。
若いうちから、お金を貯めることは重要ですが、それ以上に「自分が投資される存在」になった方が、多くの資産を築くことができます。
せっかく若さを持っているのですから、もっと野心的に活動したほうが、お金も稼げるし、経験も積める。老後に飲み屋で話せる武勇伝も増えるのにな、と思いまます。
お金自体に価値はない
貨幣でしか税金を支払えないようにしたことで、貨幣に価値が生まれたとのこと。脱税は警察に捕まってしまうため、みんな税金を支払うために、必死に貨幣を手に入れようとすることで、貨幣に価値が生まれたということ。非常に面白い話です。お金の起源は税金なんですね。
政府は集めた税金を利用して、国を豊かにするための事業を国民に与え、対価として貨幣を支払います。国からの事業を行う業者を、手伝うことでお金をもらう人も出てくきます。こうして、お金は国内に循環していったのです。
日本円は、日本人に働いてもらうためのチケットであると考えるとわかりやすいです。日本人は円で税金を払わないといけないので、円を得るために働きます。
お金で解決できる問題はない
老人が増えて、若い人が減ってくると、働ける人が少なくなっていきます。
いくらお金を貯めていても、働いてくれる人がいなければ、コンビニも開店できません。お金がたくさんあって、お金を払いたくても、払うお店がありません。
つまり、お金自体では、なにも解決できないということです。
今の日本に必要なのは、日本人による生産量を上げること。一人あたりの生産量を上げたり、女性の活躍する場を男性を同レベルにする、定年退職の年齢をもっと遅らせるような対策が必要でしょう。
外国に売れる商品、サービスを提供する
国がたくさん国債を発行して、事業を行っても、日本国民がそれを実施すれば、お金は日本国民に流れるので、実は問題ありません。
しかし、労働力が減ったり技術が不足して、海外の人が仕事を請け負ってしまうと、お金が国外に流れてしまいます。お金が国外に流れすぎると、国が潰れてしまいます。
以前は日本の家電製品や自動車は人気があり、海外向けて飛ぶように売れていたのですが、最近は技術の差が埋まってきて、以前ほど売れなくなってきています。
日本は資源や食料の多くを、海外からの輸入に頼っているため、このままだと、収支が赤字になってしまいます。
外国に売れる商品やサービスを生み出さないと、日本は国として立ち行かなくなってしまう可能性があります。
最近のFIREブームに違和感
最近、「FIRE」が話題になっています。FIREとは、株の値上がり益や配当金で生活することです。
自分の代わりに、優秀な企業の優秀な社員にお金をたくさん稼いでもらって、その一部を貰って生活するのです。
しかし、そういう人が増えていってしまうと、働き手が少なくなってしまいます。いくらお金があっても、利用できるサービスや商品が少なければ、身の回りの社会は貧弱なものになっていきます。
最近は20-30歳代の若い人が、徹底的な節約で資産を形成し、若いうちにFIREを目指しているそうです。しかし、若い人が働かず、お金だけ持っていても、社会がドンドン疲弊していき、自分自身の生活も貧弱になっていったら、本末転倒では無いでしょうか?
若いうちは投資をするより、「自分が投資される存在」へ
労働力は減っていく一方で、高齢化が進み、お金を払いたい人は増えています。この状況なら、社会で役立つサービスを運営すれば、お金が集まりやすいです。「自分が投資される存在」になったほうが、多くの収入を得ることが可能です。
大チャンスが目の前にあるのに、若いうちからチマチマ節約して投資して、三千万円くらいでサイドFIREとか言っちゃって、生活保護受給者と変わらない生活をして、何が面白いのかな?と思ってしまいます。
FIREに憧れるのは共感できますが、エネルギーあふれる若い時期は、もっと野心的に活動したほうが、経済的にも、人間的にも、結果的に良い人生になるのではと私は思うのですが、どうでしょうか?
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