村上春樹さんの小説は好きです。
とはいえ、全部読んでいるわけではなく、風の歌を聴けや1973年のピンボールといった、初期の作品を好んで読んできました。何度も読み返しています。
これらの作品に私が最初に出会ったのは、高校生の頃です。当時の担任が紹介してくれました。
読書といえば、三国志などの歴史ものを読むことが多かったので。村上春樹さんの小説との出会いは、画期的でした。
ハッピーともバッドとも言えない、内省的な感情が残る読後感。物事を多面的に一つ一つ書き下していく文体は、多感な高校生の脳は、多くの刺激を受けました。
羊をめぐる冒険、ダンスダンスダンスまで読みましたが、内容が少々難解に感じるようになり、その後の作品は読むのをやめてしまいました。
ただし、一冊だけお気に入りの本があります。「走ることについて語るときに僕の語ること」です。2010年くらいの作品でしょうか。こちらは小説ではなく、エッセイになります。
私は日常的にジョギングを趣味としていて、村上春樹さんも毎日のジョギングを日課にしています。共通な話題ということで、村上春樹さんの言葉に共感することが多かったです。
100kmウルトラマラソンを走りきった後は、しばらくこちら側に帰ってこれなかったという話は、「ほんそれ」でした。
Pain is inevitable. Suffering is optional.(痛みは避けがたいが、苦しみはこちら次第)という、ルーマニアのマラソン選手の言葉も、心に沁みます。
不定期ですが、今も読み返してます。ジョギングに対するモチベーションが上がります。
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さて、今回の新作「街と、その不確かな壁」を読むきっかけになったのは、日経新聞のインタビュー記事でした。
冒頭に、以前書いた旧作を元に書き直したものと書いてありました。もしかしたら、自分が高校生の時に村上作品を読んだ時のようなものがあるのかな?と思い、即Amazonで注文しました。
インタビュー記事の続きは読みませんでした。後から読んでみたのですが、ネタバレ的な内容もあったので、読まなくて良かったです。
金曜日の午前中に本が届き、その日の夕方から読み始めました。禁酒日だったので、夜中までじっくり読んで、翌日も朝食を食べた後から読み始め、昼過ぎに読了しました。
初期の作品のような空気感を期待していたのですが、そのままではありませんでした。荒削りな感じはなく、円熟味を増した感じがしました。文体は変わらず、物事を丁寧に多面から捉えていくところは、これぞ村上春樹!という感じがしました。
半日間、久々に村上ワールドを堪能することができました。
初期作も読み直して見たくなりましたし、今回の作品と関連がある(知人から聞いた)「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」も読んでみたいです。あと、「走ることについて語るときに僕の語ること」も!
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