東洋経済オンラインの編集長、佐々木紀彦さんの著書です。リニューアルしてから4ヶ月。2013年3月に月間5,301万ページビューを獲得して、ビジネス誌系サイトナンバー1になったそうです。
5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?
本書を読んで感じたのは、これからは個人で大手メディアと同じように渡り合っても、絶対に敵わないということです。個人はゲリラ的戦略で各個撃破を狙っていくしかないと、改めて思いました。
本書は企業や個人にかかわらず、ネットで情報発信をしたいすべての人にお勧めします。
恐るべき東洋経済オンラインの方法
最初に取り組んだのは、コンテンツ集めです。
ウェブ独自の記事を充実させるため、リニューアルと同時に、新連載を50個スタートすることにしました。
これまで記事の大半は社内で調達していたのですが、社外筆者と組んだコラムを拡充することにしたのです。
via: 5年後、メディアは稼げるか
それと合わせて、ウェブオリジナルの企業記事にも力を入れました。
これまでは、紙の雑誌に載せた企業記事をウェブに転載することが多かったのですが、ウェブオリジナルの企業記事を書いてもらうよう、社内の120名の記者にお願いしました。
via: 5年後、メディアは稼げるか
4ヶ月で月間5千万ページビューとは、新連載50個、120名の社内記者からの協力といった、高品質のコンテンツを圧倒的な量で供給をした上での数字だったのです。
大手出版社が本気になったときの力を、まざまざと見せつけられた気がしました。多くのプロの記者を雇っている紙媒体のメディアが、こぞってネットに本格進出してきたら、中途半端な情報発信している個人は、あっという間に蹴散らされると直感しました。
ネットで情報発信することは大手も個人も同じ
多数の連載、多くの記者からの記事を集めただけでは、5千万ページビューを積み重ねることはできなかったでしょう。本書では、これからの時代に必要な記事の書き手に必要な素養や、記事を書く姿勢についての著者の意見がいくつか述べられています。
驚いたのは、大手メディアに掲載する記事を書くのと、ブログなどで個人が記事を書く場合での重要なポイントはほとんど一緒だということです。当ブログで綴ってきた個人ブログ論と通じるところが多かったです。
などです。
大手とエッジが効いた個人ブログしか残らない
個人で大手と渡り合うのは今後は厳しいです。先に紹介した、新連載を50個スタートとか、120名の記者にオリジナル記事をお願いするとか、個人では無理です。
超ニッチなジャンルや、個人的な主観を前面に押し出した情報発信をしていかないと、少なくともウェブ上ではやっていけそうにありません。中途半端にジャンルを広げた専門性が薄いサイトや、情報をまとめただけで書き手の意思が感じられないサイトやブログなど、「中途半端」が一番良くないです。
ネット上のマーケットは日本全国、全世界です。狭い範囲でも、突き抜けたことをして活動すれば、一家族が暮らしていけるくらいの収入をかき集められる可能性は十分にあります。一定のファンが付けば、情報発信だけでなくイベント開催などの自分の活動を有効に告知できる場にもなります。
まずは、自分のポジションをなるべく早く確立して、個人の主張をにじませた記事をポストし続けて実績と信用を積み重ねていく。今後の社会の変化に対応していくためにも、自分の「場」を作っておくことは有効になるでしょう。