検索エンジン業界は、風雲急を告げています。
対話AI「ChatGPT」が世界を席巻。マイクロソフトが莫大な資金を投入し、自社の検索エンジンに対話AIを取り入れることで、Googleが支配的だった検索エンジン市場をひっくり返そうとしています。
驚きなのは、これらの物事が進むスピードです。ほんの一ヶ月間くらいの話です。スピード感が半端ないです。
この速すぎる流れに、必死に食らいついていきたいと思います。
対話AI「ChatGPT」が巨大企業Googleを震え上がらせた
マイクロソフトは、年始早々ChatGPTに1.3兆円もの投資を行い、2月に入り、同社の検索エンジン「Bing」に対話AI機能を搭載しました。
Microsoft、検索に対話AI 「ChatGPT」開発企業と組み
Bing上では、対話AIのデモも掲載されています。ものすごいスピード感です。
Googleは社内に「緊急事態」を宣言し、マイクロソフトと同じように独自開発の対話AIを、Google検索に搭載しようとしています。
Googleジャパンの公式ブログにも、AIに対する強い意志表明がありました。これほどスピーディーに日本語訳が出るのは異例です。
今年2023年は、検索エンジンの形が、一気に変わっていきます。ネット上での活動を生業としている身としては、この大きな流れに、しがみついていかないといけません。
これからの検索は、「対話AI」の答えが最初に表示される
Googleジャパンの公式ブログ記事に、対話AIが組み込まれた検索結果画面が、紹介されていました。
まず、対話AIによるサマリー的な答えが来て、その後に従来の検索結果が続く感じです。
Bingの検索結果のデモ画面も同じようなデザインになっていました。
これが何を意味するかというと、検索エンジンで上位を獲得しても、検索画面の一番上には表示されない。つまり、検索エンジンからの集客は、これまでより減ってしまうということです。
答えのあるページへ遷移しなくても、検索結果画面上で、多くの問題や疑問は解決してしまうということです。
でも、対話AIが出力する答えは、我々がネット上で公開している最新のコンテンツを学習することで作り出していくはずです。
言い方は悪いですが、我々のコンテンツは、検索エンジンの「餌」になるということでしょう。ネット上のコンテンツを食べ続けることで、対話AIはどんどん頭が良くなっていきます。
実際にこれまでも、Googleはソースとなっているページへたどり着かせず、できるだけGoogle上で完結するようなことをしてきました。今回の対話AIは、なかなかヤクザな方法だと思います。
過去にも似たようなことがあった
過去にも似たようなことがありました。Yahoo!検索は、2005年くらいまで、まずヤフーカテゴリーに登録されているサイトが上位に表示されて、その後に、自然検索結果が続きました。
人の目でチェックをしたものの方が、信頼がおけるからという判断でしょうが、その後ヤフーカテゴリーのサイトの表示はなくなり、自然検索のみになりました。
そして、20年弱の時を経て、人間ではなく、人工知能による回答が表示されるようになったところに、デジャブ感を感じます。
コンテンツ発信者の、これからの進む道
ネット上のコンテンツは、検索エンジンに飲み込まれていきます。検索エンジンの栄養にしかならなくなっていくでしょう。
特に「まとめページ」のような情報オンリーの記事は、対話AIの最高の好物になりそうです。
そんな中で、コンテンツ発信を生業としている身としては、どんな発信をしていけばよいのでしょうか?
それは「検索エンジンを経由せずとも、読者が訪問してくれるコンテンツ」です。
例えば、自分で経験したことや、考えたことを、自分自身のライフスタイルを文脈といて紹介するようなブログ。つまり「個人ブログ」は、一つの方法だと思います。
人々は、自分と考えが似ている人のコンテンツを探しています。あなたにも、読んでいて楽しい他人のブログが一つくらいはあるでしょう。そういった存在になるのです。
便利なツールやサービスを提供するのも、一つの方法です。日々利用するようなものであれば、人々は毎日訪問してくれるでしょう。
検索エンジンに集客を頼らなくても、人々が集うようなサイト運営を心がけたいです。
「体験」はオリジナルであり、より重要な情報へ
昨年末に、Googleはこれまでの検索品質指針「Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)」に、Experience(経験)を加えた「E-E-A-T」を、新たな指針として打ち出しました。
その時は、「経験を元にしたコンテンツは、やっぱり有益だよな」「Googleは個人のブログを締め出していたので、それへの対応なのかな?」と思っていました。
しかし、今考えると、対話AIへの対応の意味もあった可能性もあります。
ChatGPTをいじったことがある方ならわかると思うのですが、AIの返す回答は、無味乾燥といいますか、人間味のようなものは、排除されています。サマリー(まとめ)としては良いと思いますが。
その後に続く、自然検索結果には、AIの回答を補佐するコンテンツを並べたいはずです。AIが作ったような、まとめ記事ばかりでは、内容が被ってしまいますので。
そこで、個人ブログの記事ような、書き手によって色々な文脈があるコンテンツを、検索上位に入れたいと考えたのではないでしょうか?
新陳代謝は良いこと
今後しばらくは、Googleとマイクロソフトの熾烈な争いが繰り広げられるでしょう。でも、我々ユーザーにとっては、良いことです。
最近のGoogleの検索は、広告が多すぎる感じがしました。何十年も同じサービスがシェアを独占しているのは、健全ではありません。
両社の検索エンジンが性能を競うことで、検索エンジンの進化が速まり、もっと便利なサービスを使えるようになって、我々の生活がより良いものになることを願っています。
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