アベノミクスの一貫として、法人税を引き下げる方向で調整が進んでいるそうです。
法人税減税に意欲 安倍首相「国際相場から見て競争的なものに」
私も法人を持っているので、法人税が安くなれば嬉しいことは間違いです。しかし、法人税を下げることが本当に景気対策になるのかな?と疑問に思いました。
法人に利益は残したくない
法人と個人の実効税率を比べると、基本的に個人の税率の方が低いです。例えば報酬720万円だと、実効税率は法人で24.56%、個人だと16.1%です。
【法人と個人の実効税率の計算】
よって、私の様に家族で運営している法人では、必要以上に会社に利益を残すことは、得策ではありません。
会社に残った利益を、個人への給料で支払ってしまうと、会社と個人でダブルで税金がかかってしまいます。法人に残った利益は、基本的に法人として利用すべきです。
税金が事業への投資を促す
役員報酬は期首にしか決定できません。よって、期首に想定していた以上に利益が上がってしまうと、会社に多くの利益が残り、多くの法人税を支払うことになります。
普通の経営者であれば、考えることは、「税金で持っていかれるくらいなら、前倒しで事業拡大へ投資する」でしょう。経費は増えますが、税金を圧縮しつつ、将来的に利益を増やせるからです。税金を払った後に残った利益で投資をしても、効率が下がってしまいます。
景気がよくなると利益が増えます。税金を減らすために、企業は人材や設備への投資を増やします。多くの企業がどんどんお金を使えば、ビジネスが拡大して、さらに景気が良くなっていくはずです。
安い法人税は内部留保を促す
しかし、法人税が下がると「会社にお金を残しても良いかも」と判断する企業は増えると思います。事業への投資はリスクです。あえてリスクを取らず、会社にお金を残すことが合理的な選択となるのです。
世の中でお金が回らず、企業にお金がどんどん貯まっていってしまいます。本当に景気対策になるのかな?とふと疑問に感じました。
日本の税率は本当に割高なのか?
日本の法人実効税率は、世界の国々の中でも確かに高いです。しかし、日本よりアメリカの方が高いです。
税金をショバ代と考えれば、衣食住を始め、情報、物流などの国家のインフラが整っていて、イノベーションを起こしやすい環境でビジネスを行える日本の法人税が高いのは、当たり前なのかもしれません。
事業を拡大していけるビジネスであれば、事業投資を続けて毎期赤字にすれば、法人税はほとんど発生しません。低い税率を求めて、外国へ引っ越しても、ビジネス環境が悪くて、ビジネスを拡大できなければ本末転倒です。
税金を安くしてくれるのはありがたいことですが、景気対策につながらなければ意味ないです。アベノミクスの仕上げとして、ビジネスを拡大しやすい施策も期待したいところです。
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