泣く子も黙る国税局が、「民間給与の実態調査結果」という、ものすごく面白い資料を公開していることを知りました。
エクセルファイルで公開しているため、データーをグラフ化したりすると楽しいです。
ようやく分かりました。5年前に私が会社を辞めたときに感じた、なんともいえない不安感が何だったのか?
会社は巨大なねずみ講
当時、私が感じていたことは、
・どんどん忙しくなるのに、給料の手取りが増えない
・どう計算しても、上司の給料に届かない
会社の給与体系が変わり、毎年業績をポイント加算した持ちポイントの総数で給与額が決まるようになりました。
ポイントと給与額の対応表を見てびっくり!なんと、私が100年間、最高評価で働きつづけないと届かないようなポイントが掲載されていたのです。
要するに、当時のミドル以上の社員は、めちゃくちゃ給料が高かったということです。
不況のため人件費を減らさないといけない。しかし、既存の社員の給料は減らせない。
成果主義を巧妙に導入して、巧妙に若手の給料を下げていたのでした。
上司の給料水準を維持するために、若者が身をすり減らせて働くという、いわば「会社という名のねずみ講」に違和感を感じ、2005年に8年間働いた職場を去りました。
一ヶ月分給料カット!
ところが、勤め先だけではなく、日本全体でも同じようなことが起こっていた!ということが、今回のお話です。
まずは、日本人男性の平均年収の変遷のグラフ。
H9年(1997年)がピークで577万円でした。この年は実は私が入社した年です。
その後H19年までに約40万円も下がっています。一ヶ月分の月収がすっ飛ぶくらいの金額です。
これでは、いくら働いても、給料は上がらないですよね。
日本人男性の平均年収の分布を見てみましょう。
よく見ると、H9年は「500万円以下」がピークだったのに対し、H20年は「400万円以下」がピークになっています。この10年で100万円ずれてしまいました。
バブル世代にだまされるな?
今回発見した衝撃的なデーターを。まずは年代別の平均年収分布です。
H9年とH20年の分布です。H20年の方が、各年代で年収が下がっています。
しかし、騙されてはいけません。H9年に対して、どれくらい年収が減ったかを率で表すと、
なんと、若者ほど減少率が大きいのです。一番減少率が少ないのが、40-50歳の連中、つまり、私が入社した時の上司の年代です。
この年代は、管理職となって会社の中心を担っている世代です。しかも、バブル世代で社員も多く、社内ではマジョリティです。
このグラフだけ見ると、自分たちへの損害を少なくするため、他の世代から搾取しているようにも見えます。
事実、私が勤めていた会社は、先に述べたように、若者を搾取していましたからね。どこも同じようなことをやっていたと思わざるをえません。
これからはどんどん給料が下がっていくでしょうね。デフレでみんな低所得でやっていけているのだから、企業としては絞るだけ絞りたいところでしょう。
でも、40代以上の社員の給料はさほど下がらず(下げられず)相対的に裕福になっています。若者たちはその事実を知って、果たして耐えられるのかな?
感性を大事に
当時は上記のようなことを色々考えているフリをして、結局は「この先ずっとこの会社で働くことに、なんとなく違和感がある」という感情が一番大きくて、退職を決断しました。
私はかなり感覚的な人間です。
こうして後追いでデーターを突き合わせてみると、人間の感覚はすごいなと思います。
ロジックは重要だけど、こうして数年経ってデーターが揃った段階でないと、ロジックは機能しません。ロジックは、あるものをわかりやすく他人に説明するためのスキルです。
私はこれからも「感性」を大事にしていきたいです。スピード感を持って、世の中を渡っていくために。
データー元:国税局:統計情報
参考:http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20100312/nb 若い方にはぜひ読んで頂きたいです。
コメント
ドキドキする内容でした。
我が夫は現在30歳。世間では大手といわれる会社に属していますが、入社?現在までの夫の働きぶりと、会社の対応を見ていると、すごく不安になります。
家計を彼一人に任せていいのか?
最近良くそう思います。私が動くこと、家計管理すること、資産運用すること。家族の未来を、身内でもない会社に任せるわけにはいかないと、つくづく思います。
結局、企業も社会も個人には冷たいですよね。
>キティさん
そうですね。最近は「寄らば大樹」って言葉が虚しく聞こえてきますからね。
絶対的な安心は存在しないことを肝に銘じて、思考停止せずに、日々考えて行動することを心がけたいです。
はじめまして。
記事、拝見させていただきました。
かん吉さんが会社を辞められた理由を今まさに、私も感じています。
なんとなく思っていたことがデータではっきりするのですね。
私は1983年生まれなので20代後半です。
今将来の生き方にすごく悩んでいるので、
かん吉さんのこの記事に励まされました。