5/21に東京国際フォーラムで開催されるイベント、リンクシェア・フェアの、
~個人の力を見直そう。これからの、ここからのアフィリエイト~
というディスカッションに登壇します。ブログなどで発信する側と、アフィリエイト広告を出稿する広告主側が一堂に会して、「これからの、ここからのアフィリエイト」を考える企画です。
大震災が起きて、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアが大きく注目され、ネット上の力学が大きく変わってきています。ブログやアフィリエイトのポジションも変わっていくでしょう。
イベントで話す前に、私の現時点でのアフィリエイトに対する意見をまとめておきます。
お題:そんな暗号はすぐばれる / 池田隆一
アフィリエイトはバレている
そもそも、人々には広告を見たくない。売り込まれたくないという心理があります。新聞や雑誌を読んでいたら、実は広告だったことに気がついて、がっかりしたことは、誰でも経験があると思います。アフィリエイトという仕組みは、ある意味「バレている」のです。これからは、「この人からなら買ってもいいかな」と思われる人しか、アフィリエイトが機能しなくなるでしょう。
ブログが登場したことによって、プレーヤーが一気に増えため、それに乗じてASP(アフィリエイトサービスプロバイダー、ECとブロガーの仲介業者)も「これからはブログ+アフィリエイト、レビューアフィリエイト」と猛烈なアピールをかけて、一気に広まりました。
これまでは検索エンジンがネットプラットフォームとして君臨していたため、どんなページでもよいから、とりあえず自社の商品が掲載されているページが増えてさえくれれば、利益につながりました。
これまでは、集客の中心はSEOでした。初心者をどんどん勧誘して、ブログを量産させて、アフィリエイトリンクを貼っていれば、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)と広告主の売り上げは伸びました。ブログ×アフィリエイトをうたい文句にして、ネット上にアフィリエイトを大量生産することに成功しました。
しかし、ブログからソーシャルに舞台が移ってくると、アフィリエイトの旗色が悪くなってきます。なぜなら、ソーシャルメディアとアフィリエイトは相性が劣悪だからです。SEO中心の集客においては、サイト運営者は匿名でOKでしたが、ソーシャルが集客の主役になってくると、情報自体よりも、「誰が情報を発信しているか」が重要になってきます。情報の発信者のブランドを高める過程において、アフィリエイトの存在はマイナスです。「こいつは金儲けのために情報を発信している」と思われてしまうと、信用が蓄積されないからです。
アフィリエイトはこれまで、「ほったらかしでも儲かる」と言われていました。しかし、集客がSEOからソーシャルに移っていくにつれ、ほったらかしで稼げる額はゆっくり確実に減っていくでしょう。「茹でガエルの法則」そのものです。
HathaYoga Championships -Bikram-Ron Sombilon Gallery (290) / Ron Sombilon Gallery
「誰からの情報か」の情報の方が重要
以前は情報自体に価値があったのですが、現在は「情報が誰から発信されているか」が重要になってきているのです。
ネット上で影響力を持っていくには、ただ漠然と情報を流すだけでは、だれも振り向いてくれません。これまでは検索エンジンが幅を利かせていたため、良い情報さえ流していれば、検索エンジンを通して、きっと誰かが発見して、認めてくれるという期待がありました。残念ながら、そのような時代は終わりを迎えています。
via: 日本人のためのフェイスブック入門
これまでのアフィリエイトは、「発信した情報の価値」に対してお金を貰うイメージでした。これからは、「情報を発信している人の価値」に対してお金が支払われる流れに移行していくでしょう。
もし素晴らしい情報を発信したとしても、もっとブランド力の高い人が、その素晴らしい情報に後追いでプラスアルファの情報を付け加えて公開したら、人々はそちらの情報に注目します。素晴らしいサービスを開発して公開したとしても、もっとブランド力の高い人が、その素晴らしいサービスにプラスアルファの機能をつけて公開したら、そちらのサービスを利用します。
もちろん、こんな極端な例は「パクリ」になってしまうので、ブログではありえないと思います。しかし、ビジネスの舞台では、このような露骨な駆け引きは、普通にあります(ソニ●のモルモットの例とか)。コピーが簡単にできてしまうインターネットでは、「誰が発信しているか」がより重要な情報になるのです。
もし、アフィリエイト2.0という言葉が生まれるとすれば、それは「ソーシャル・アフィリエイト」を意味するはずです。
読み手にとって本当に魅力的な商品・サービスを紹介することで、ブログの株は上がります。「いつも素晴らしい情報をポストしている有益で信用のあるブログ」と広く認識されます。ECとしては、そうした信頼できる、影響力の大きいブログで商品を紹介してもらえると、商品が売れるだけでなく、商品と企業のブランドが向上します。
これからは、自分のブログの「ブランド」に合った商品だけを、慎重に選んで紹介していかねばなりません。「報酬が高いから」「モニターしたから」というだけの理由で、アフィリエイト記事を闇雲にポストする行為は、積み上げてきた信用を一瞬にして失墜させてしまいます。
これからのアフィリエイトは、ブロガー(アフィリエイト)と、ECの双方が、お互いのブランドを相乗効果で高めつつ、収益化の達成を目指すという、デリケートなミッションになっていくと私は思っています。
二つに分けるやつ / Koji Horaguchi
「ブランド」と「専門性」を分ける
一つのブログ・ウェブサイトで、ブランドを向上しつつ、アフィリエイト収益もあげていくには、高度な運営技術が必要になります。ウェブ上では商業的なものが嫌われる傾向にあるので、アフィリエイトをしながら、ブランドを向上、つまり「人気ブログ」を作るのは至難の業です。
専門性と人間性を別のメディアで分けて、役割分担するとういうマーケティング手法に関しては、やっぱりそれが一番だという自信がありました。
via: 日本人のためのフェイスブック入門
両方のブログを相互リンクして、お互いに紹介します。セルフブランディングが確立してくれば、読み手が「このブロガーが運営している情報サイトなら信用できそう」と思ってくれるしょう。逆に「こういう情報サイトを運営できる人のブログは面白そう」と思ってくれることもあるでしょう。
このように、ブランディングとマネタイズのブログを分けることによって、お互いの相乗効果を狙うのです。
ここは発想の転換をして、自分の人間性を高める、セルフブランディング用のブログと、アフィリエイト中心のマネタイズ用のブログを分けてしまうことをお勧めします。
セルフブランディング・ブログでは、ソーシャルメディアを駆使して影響力を拡大し、マネタイズブログへリンクを貼って、SEO対策と直接送客を行います。両方が混在するとバランス取りが難しいですが、二つの役割を別ブログに分けて、制約を排除することで、ブランディングとマネタイズの両方をエッジを効かせることができます。中途半端なことをしていては、競争に勝てません。
Veggie Garden / taylorandayumi
ブログ「ブランド」を育てる
売り上げ・収益ではなくて、ECとアフィリエイト双方の「ブランドの向上」に注力できるASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)が、次の時代のアフィリエイト・マーケティングのリーダーになれると思います。
今回のイベントの主催者である「リンクシェア・ジャパン」は、三井物産が立ち上げて、現在は楽天市場の子会社となっている、アフィリエイト界のサラブレッド企業です。物産のブランド力を駆使して、大手有名企業との独占提携を増やしてきた経緯もあって、ASPとしては抜群のブランド力を誇っています。
企業としての拡大を目指すには、アフィリエイターを増やす努力は必要です。しかし、今後は拡大路線だけではなくて、ダイヤの原石を見つけて磨いていくような「教育システム」も整備していく必要があると思います。
とはいっても、ASPの手下になるわけではなくて。サッカーのスペトレみたいなイメージです。見込みのあるブロガーを選抜して、ブロガー同士の競争を促し、楽天・リンクシェア自身と、提携している大手企業のマーチャントのブランドも拝借しつつ、ブロガーの実力とブランドを向上していくようなプログラムができれば、面白いと思います。
Sensibility / kudumomo
初心者は自分の「感性」を大切に
今回紹介した内容は、あくまで私が自分が得た知識や経験を通じて考えた私見です。従来どおりの手法でやっていける部分もあるでしょう。しかし、全世界的にはGoogleよりもFaebookの方が利用時間が長くなっているという「事実」を踏まえて、ソーシャルメディアを前提とした戦略は持っておくべきです。SEOによる集客のコンバージョンがいくら高いといっても、母数が減ってしまっては成長は限定的です。
ソーシャルメディアはさらに膨張を続けていきます。ネットに限らず、ビジネス、サービス、ホビーなどあらゆるものがソーシャル化していくでしょう。大きな変化は、大きなチャンスを生みます。これからアフィリエイトを始めようとする方は、これまで良いと言われていた方法のすべてを鵜呑みにせず、いま目の前にある現状を直視して、自分が感じるものを信じたほうが上手く行く確率が高いと思います。なぜなら、これまでもその時々の新しいものを取り入れてきた人が、ブログ・アフィリエイトでは成功しているように感じるからです。
そんなことを、5/21の企画ではお伝えできればと思っています。