私は技術畑をずっと歩いてきたので、営業と聞くと拒否反応がでます。しかし、本書を読んで、営業には、セールストークのテクニックを磨くとかよりも、もっと大切なことがあることを知りました。以前よりも営業に親しみを感じます。
世界最高位のトップセールスマンが教える 営業でいちばん大切なこと
トップ営業マンの秘訣とは、物を売り込むのではなくて、●●●●を売り込むことだと知って、腑に落ちました。何事にも通じるマインドだったからです。
結果はコントロールできないことを知る
自分がいくら頑張っても、相手の出方次第で結果が変わってしまう。どんなに誠意をもってクロージングをかけても、お客様が首を立てに振るか横に振るかわからない。
結果は「神のみぞ知る」というと大げさかもしれませんが、実際に「買ってくれるはずだ」と疑わなかったお客様から、最後の最後で「ノー」を突きつけられることもあるわけです
いくらプロ中のプロの営業マンとはいえ、最終的に商品の購入を決断するのは、お客さんです。結局のところ、営業マンにできることは、できるだけ多くの見込み客と出会うことだけです。
営業というと、お客さんを口八丁で丸め込んで、いかに契約させるかが勝負だと思っていましたが、そうではないのです。この逆転の発想を知ることができただけでも、本書を読む価値はあったと思いました。
「トップの営業マンも普通の営業マンも、スキルにそれほど差はない」と説明しましたが、ベルトコンベアーに乗せてしまえば、プレゼンやクロージングのスキルがあってもなくても、「たいていはどうにか流れていく」ものです。(スキルに違いがあるとすれば、ベルトコンベアーに乗せる前まで、ということです)。
ただし、「流れた先がどうなるのか」まではわかりません。契約してくださるのか、それとも断られるのか、わからない。
だとすれば、どんどん、どんどん、お客様をベルトコンベアーに乗せていくしか、成績を上げる方法はありません。
私自身を振り返ってみると、営業マンに売り込みをかけられることを、常に警戒しています。営業マンに何か頼むときは、「知っている営業マン」にお願いすることが多いです。つまり、まずは、多くの人にとって「知っている人」になることが、営業マンにとっては重要なのだと思います。
そのためには、初めて会う人には絶対に売り込まない。聞かれない限り、自分の商売の話をしない。仕事だけでなく、趣味や人の紹介を通じて、色々な人と会っていく姿勢が大切だと思いました。
Master Butcher and Salesman in Florence / Alaskan Dude
営業マン自身を売っている
お客様から口コミをいただき、それを広げていくには、どうすればいいのでしょう?売り込むのではなく、「探してもらえる営業マン」になるには、どうすればよいのでしょう。そのためにはまず、「自分が商品であること」を理解する必要があります。
良い商品を安く購入できれば、それに越したことはありません。でも、いつもすべて真剣に比較して買い物をしているわけではありません。信頼する人が紹介してくれたものを、そのまま購入することは、結構多いと思います。
紹介する側も、質の悪い商品ばかり紹介していたのでは、自分の信用を無くします。下手なものを紹介するわけにはいきませんので、人づての紹介はかなり信頼性があるのです。
口コミの対象は、自分が扱っている商品ではなく、
「最終的には、営業マンとしての自分自身」
であり、また、営業の醍醐味は、
「自分が信頼されて、認められることである」
というマインドを持つことが前提です。
営業活動とは、まさに「信用の蓄積」そのものです。何かあったときに「あの人に聞けば、なんとかなるかも」と思い出してくれるかどうかが勝負になります。そのためには、営業マンは商品を売るのではなくて、商品をきっかけにして「自分自身を売る」ことが、本当の目的です。
仕事とプライベートをあまり区別せずに、いつも自然体で人と接することができれば、おのずと人脈は広がっていき、「見込み客」が増えていくのだと思います。
Paris: les montres d’Arman a St Lazare / fredpanassac
信用を蓄積する
自分と価値観が似ている知人から、「オレも買ったよ」と言われると、人間の感情は動きやすい。
周囲から「あの人が言っているなら、間違いがない」。そんな風に思われている人物を味方にしておくと、口コミは一気に広がっていきます。
では、どうやったら信用が蓄積されるかというと、一番の方法は「第三者に口コミしてもらう」ことです。自分から「私は優秀です」とアピールするよりも、別の人から「この人は優秀なんだよ」と言ってもらったほうが、信用度が飛躍的に上がります。
人は基本的に良いもの、素晴らしいものを人に口コミしたい性質を持っています。優秀な知り合いを持つこと自体が、自分自身のポテンシャルを上げることにつながります。自分一人では不可能でも、自分の知り合いの力を借りて、問題を解決してもよいのです。
お客さんの問題を、自分のネットワークを利用して解決してあげることも大切です。人を紹介することで、ネットワークが広がり、あちこちで自分の話題がでてくるようになります。そして、自分への信用が蓄積されていきます。結局、信用というのは、第三者からの評価の総和なのです。自分のネットワークそのものが、信用のベースになるのです。
営業マンは、商品を売るのが仕事ではありません。営業マンが売るのは、「自分」です。「この商品や役に立つ」ではなく「この営業マンは、役に立つ」と思っていただくことが、営業という仕事の、第一主義だと思います。
困っている人がいれば、積極的に助けてあげることです。自分では直接対処できなくても、自前のネットワークを利用して手伝います。「この人に相談すれば、なんでも解決できそうだ」と思われるようになれば、たとえ商品が変わっても、転職しても、どこでもやっていける力になるはずです。
Blog With Authenticity Without Getting Fired / Search Engine People Blog
ブログも「記事」を通して自分を売り込む
これまで述べてきたように、トップ営業マンの秘訣とは、物を売ることではなくて、「営業マン自身という商品」を売り込む行為なのです。すごくスッと腑に落ちました。なぜなら、当ブログで再三述べている人気ブログの秘訣も同じで「記事を通して自分を語る、自分を売り込むこと」だからです。
商品を詳しく説明しただけのブログ記事は、正直読む気になれません。商品レビューではなくて、「商品エッセイ」を書く意識が必要です。商品をダシにするのです。どんな文書でも、自分の視点を意識した文章」を意識すべきです。
via: 文章力とは、この世を生きる力である
例えば、本を紹介するときも、ただ本の内容を紹介するだけではなくて、本を通じて自分自身を語る姿勢が大切です。いわゆる「本をダシにして、自分を語る」です。つまりエッセイを目指したほうが、絶対に面白いです。我々素人が目指すべきは、形式にこだわる評論のような固い文章ではなくて、体臭がプンプンするような文章です。
営業活動とブログは共通点がかなり多いので、営業ツールとしてブログを利用することもできるはずです。ブログを読むと、初めて会う人でも昔から知っているような気になります。私自身は口下手でコミュニケーションが苦手なので、初めて会う人には自分のブログを読んでもらうように事前にアピールしていて、かなりの効果を実感しています。人付き合いが苦手という方には、ぜひお勧めしたい方法です。
コメント
営業マンが売り込む物
営業マンが売り込むものはなんでしょうか?自分が売りたいものでしょうか?
扱っている商品でしょうか?
もしそのように考えているなら、もしかすると…
…
「人気ブログをつくる」のタイトルぴったりです。すごく読みやすい。こんなふうに作れると楽しくなりそうですね。僕もがんばります。