Googleが開発した囲碁の人工知能ソフトが、世界トップクラスの棋士に勝利したニュースが話題になりました。
人工知能は過去の棋譜を学び、人工知能同士で対戦して実力をつけてきたとのこと。解説者も「人間では解説できない指し手」とコメント。人工知能は、人の理解を越えた深い部分で、手を読んでいるのです。
人工知能の中枢を担う「ディープラーニング」のアルゴリズムは、汎用性があります。Googleは囲碁の他にも、猫の顔を人工知能に学習させて判断させることにも成功しています。そして、Google検索アルゴリズムにもRankBrainとして採用が始まっています。
パンダ・ペンギンアップデートがセカンドインパクトとすれば、RankBrainはサードインパクト。究極の鉄槌がじわりとランキングを変えてきています。
AuthorRankからRankBrainへ
コンテンツは、内容も大切ですが、「誰が書いているか」も重要です。Googleはコンテンツと著者をひも付けして、ランキングを決める要素として利用しようとしていた時期があります。AuthorRankです。
しかし、Autorship(コンテンツと著者のひも付け)の廃止により、AuthorRankの活用は一歩後退した感があります。入れ違いで採用されたのが、RankBrain。つまり人工知能です。Googleは人工知能にコンテンツの良し悪しを判断させようとしているのです。
人びとの検索行動を人工知能が学習して、良いコンテンツとは何かを、自ら学ばせる方向を選んだのです。これなら、AuthorRankが実現しようとした、「誰が書いているか」も含めて評価することができます。
例えば、ランキングが低いのに、よく読まれているコンテンツがあれば、人工知能はそのコンテンツを読み込み、特徴を見つけ、アルゴリズムに加えて、自動的に自身を成長させていく。そのようなことが行われているのです。
記事タイトルは最重要ではなくなる
コンテンツの内容を判断するのに、記事タイトルは重要でした。しかし、人工知能の技術を応用すれば、コンテンツから最適な記事タイトルを算出することもできるようになるでしょう。記事タイトルに頼らなくても、記事の内容を判断できるようになるのです。
現在はとにかく注目されてリンクが集まれさえすれば、ランキングが上がります。しかし今後は、内容が間違っていたり、不誠実な内容、記事の内容とかけ離れたタイトルをつけてしまうと、Googleは「紳士的ではない」記事と判断するかもしれません。
パーソナライズ検索の精度が上がる
個人の検索行動データを蓄積すれば、人工知能は個人の好みを理解して、より精度の高いパーソナライズされた検索結果を表示するようになるでしょう。
人によって読みたい記事は異なるはずです。Googleが人工知能を利用する本当の目的は、パーソナライズ検索の精度向上のような気がします。
SEOは本質へ
最近はコンテンツSEOなる言葉を良く見かけます。内容のある面白い記事を書くことがSEOだと。当たり前の話です。裏を返せば、以前はリンク操作など、人為的な捏造により、ランキングを上げることが可能だったということです。
Googleが人工知能を導入することで、これからは小手先のテクニックは通用しなくなります。
アルファ碁の指手を解説者が理解できなかったように、人工知能は人間の理解を超えた次元で、良いコンテンツを判断するようになる可能性があります。
例えば、アフィリエイト狙いが透けて見える記事を人びとが避けるようになれば、人工知能は学習して、上位表示を避けるようになります。パーソナライズでは、さらに顕著になることもあるでしょう。
SEOという言葉に意味はなくなり、「信用のある人が面白い記事を書く」という、ごく当たり前のクリエイティブ、マーケティング、ブランディングが、ネット上の評価を支配する。そんな時代が目の前に来ているのです。
【追記】
@kankichi こんにちは。 https://t.co/LUn8gpQnyr を拝見しました。AuthrRankとAuthorshipは別ものですよ。GoogleがAuthorRankを導入したという事実(発表)はありません。Authorshipプログラムは確かに廃止ですが
— Kenichi Suzuki; 鈴木謙一 (@suzukik) 2016年3月23日
@suzukikさんから指摘をして頂き、本文を一部修正しました。ありがとうございます。
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