一昔前のSEOと言えば、有料ディレクトリ登録サービスへの登録、相互リンク、専門サイト(サテライト)、ガジェット配布、ニュースリリースなどの方法が主流でした。
これらの方法は2008年に発刊されたSEOの専門書として名高い「検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書」でも紹介されていた方法です。
しかし、この5年の間に事態は大きく変わってしまいました。上記の方法ははいわば自作自演のリンク獲得です。現在はGoogleはこれらのリンクにはrel=“nofollow”をつけるようにポリシーを強めています。専門サイトの方法はまだ使えそうですが。
では、Googleからの評価を得ていくには、これからはどうやっていくのか?
「ブログとソーシャルの補完関係」を上手く回せるかどうかにかかっていると思います。
ネット上の大掃除が始まった
Googleのランキングの評価基準はたくさんあると言われています。その中で外部からの被リンクの質と量の影響は大きいことは明らかです。Googleは「引用の多い学術論文は優秀な論文である」という通説からヒントを得て、外部リンクをランキングの計算に利用したことで、精度を飛躍的に向上させた検索エンジンであることは有名な話です。
しかし、その仕組みを悪用して、作為的なリンクを増やすしてランキングを操作する方法が蔓延していきました。Googleはペンギンアップデートなどを導入してスパム耐性を高め、ポリシーを強化して、自作自演のリンクにはrel=“nofollow”を付与するように促し始めました。「自然に増加するリンクこそが正しいランキングを作る」というGoogleの強い信念を感じます。
で、リンクって何のためにあるの?
そのリンクが優良かスパムかって貼る側が指定すべきものなのかな?
順位を決める検索エンジンが考えればいいんじゃないの?とか。
確かに、Google側がすべて判断してくれれば良い話だとは思います。これはあくまで私の推測ですが、おそらくネット上には、ランキングを操作するために立ち上げたスパムコンテンツが、いわゆる普通のコンテンツよりも膨大に存在するのではと思っています。
そういったスパム目的のページを全部クロールして収集していては、Googleのリソースを圧迫してしまいます。ポリシー強化で、スパムページが大幅に削減できれば、ユーザーはより早く欲しい情報にたどり着けます。Googleはネット上の大掃除を始めたのです。
ソーシャルとブログの補完関係
では、有益なコンテンツを作って、地道にナチュラルな被リンクを得られるのを待つことが、これからのSEOの形になっていくのかというと、そうではありません。
最近はTwitterやFacebookといったソーシャルメディアが普及しました。ソーシャルメディアの利用時間は、検索エンジンを追い抜くくらいのレベルになっていると言われています。検索エンジンと並ぶネットのもう一つの主役になりつつあります。
SNS拡散→各ブログやニュースサイトに紹介
こんな流れしか、もう被リンクを得るのはマジで難しい。
ソーシャルメディアは表現が限定されている代わりに、情報を口コミで速く広く拡散する力を持っています。ソーシャルメディア上で口コミされることで、コンテンツは多くの人の目に触れて、ニュースサイトやブログで紹介されるチャンスが増えて、結果的に多くの被リンクを得ることができます。
ソーシャルストリームに記事を投入するのに、一番良い媒体がブログだと思います。文章だけでなく、画像や動画など、自由にデザインをカスタマイズできるブログは、情報発信するには現時点では最適なツールです。
しかし、従来備わっていたコメントやトラックバックといったコミュニケーション機能が、スパムにより機能していない状況です。そこで、伝達力のあるソーシャルメディアと機能を補完し合うことで、強力なメディアとして生まれ変わりつつあります。
ソーシャルで支持されるブログは、多くのリンクを得て、Googleの評価も高くなります。そして、評価されているブログの記事で紹介されるリンク先も、Googleに評価されます。以前は3年かかった話が、現在はソーシャルを上手く利用できれば半年で終わります。
もちろん、Googleは運営歴の長いサイトやページを評価する傾向にあります。しかし、昔作ってそのままほったらかしで運営しているサイトは、ソーシャルを活用した新参サイトに、あっという間にぶち抜かれる可能性はあるでしょう。
人の意思によるフィルタリング
ソーシャルメディアでも同じようにスパムをやったら同じではないか?という意見があるかと思いますが、そうでもなさそうです。ソーシャルメディアは個人情報と紐づいているため、スパムをしにくいのです。変な情報をソーシャルで流してしまうと、流す本人の品格に関わってくるからです。
ソーシャルで声の大きな人の記事が上位に言ってしまうのはどうなのか?という意見もあるかと思います。あまり心配はないと考えています。ソーシャルメディアは、面白くて、正しく、気の利いた情報をながせる人の声を、広く拡散するようにできているからです。
ソーシャルメディア上で流す情報の質は、本人の信用に直結します。影響力のある人でも、変な情報を繰り返し流していたら、信用は損なわれてしまい、情報の拡散は限定的になります。
Googleは人間の脳を目指しているのでは?という話を読んだことがあります。ソーシャルメディアという人間の意思によるフィルターを取り入れることは、その大目標を目指すために有効な方法であることは明らかです。
SEOは新たなゲームとなるでしょう。ルールは変わり、よりリアルに近い価値判断の元で、ランキングが決定されていくはずです。
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