今年2024年も年の瀬が近づいてきました。M-1の季節です。
答え合わせ (マガジンハウス新書) 新書 – 2024/10/31
NSC(吉本総合芸能学院)の講師もされている、NON STYLEの石田さんが描き下ろした、最新のお笑い分析本です。
漫才の基本は「偶然の立ち話」
「漫才か、漫才ではないか」の議論は、M-1内で度々起こります。
私などは、面白ければ何でも良いような気がしますが、漫才には基本となる形があるのです。
それは「偶然の立ち話」ある二人が偶然出会って、喋り始めて、片方が変なことを言い出して、もう片方がそれにつっこみながら話が進んでいく。
本書を読んで、初めて知りました。
漫才コント、コント漫才、システム漫才
しかし最近は、前述した漫才の枠を外れた形が増えてきています。それが、「漫才コント」、「コント漫才」です。
つまり、コントの要素を含んだ漫才のことです。コントの要素が少ないものを「漫才コント」、多いものを「コント漫才」と呼びます。
あと、システム漫才という、同じパターンを繰り返す形も増えてきています。ミルクボーイが有名です。
形は色々あれ、最終的には「偶然の立ち話」に落とし込まないと、漫才にならないので、そこが腕の見せ所になるわけです。
これらの形の中で、一番おもしろいと思ったのは、サンドウィッチマンです。
本書でも紹介されていて、伊達さんの風貌や発言の仕方が強烈すぎて、面白いのではとのこと。納得です。
ネタの鮮度
漫才のネタは、回数が増えてくると、次第にネタに慣れてしまい、新鮮さが失われてくるそうです。
「偶然の立ち話」が漫才の基本ですから、あらかじめ作られたような雰囲気があると、ネタの面白さが失われていくのです。
初めて話して聞いた体で、話が進む必要があるわけです。
本書の著者である石田さんは、井上さんと組んでいるノンスタイルのネタ合わせをする際、ネタ合わせを本気で行わないそうです。
きっちり詰めるのではなく、余白を残しておくことで、毎回少しずつ変化することで、新鮮さを保つ工夫をしているのだとか。さすがプロですね。
準決勝で受けても、決勝では受けない原因
準決勝までは、審査員の前だけで漫才をするので、漫才慣れした人に受けるネタが必要です。
しかし決勝は、一般のファンたちの前で漫才をすることになるので、万民受けするわかりやすいネタが必要です。
準決勝までと同じように、決勝に臨んでしまうと、全く受けないことも。度外れしているコンビが毎回いるのは、これが原因かもしれませんね。
準優勝が売れる理由
優勝コンビよりも、準優勝のコンビのほうが、その後テレビで売れる現象が起きています。
その理由は、キャラが立っていて、台本を作りやすい芸人が、その後テレビで生き残って行くとのことです。なるほどです。
テレビ映り的には、決勝での成績は、あまり関係ないのです。テレビ的かどうかが重要です。
漫才だけで、劇場で生き残っていく道ではなく、テレビで人気が出たほうが、報酬は高いはずです。もし、テレビを選ぶなら、そちらの設計も大切ですね。
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