駅伝とは、団体競技であり、個人競技でもある。そんな「駅伝の矛盾と本質」に切り込んだ小説「チーム 堂場瞬一著」を先日読みました。
チーム 【駅伝の本質】誰かのためを思って走る時、人は一段強い存在に
その続編があるとのことで、読んでみました。
こちらの作品も、テンポが良くて、あっという間に読んでしまいました。箱根駅伝など、駅伝やマラソン好きの方にお勧めです。
あらすじ
今回の舞台は、前作から7年後の物語。マラソン日本記録を持ち、陸上界の至宝と呼ばれた山越悟は、本人の怪我と、所属チームの解散が重なり、引退の危機に。そんな中、箱根駅伝を学連選抜で一緒に走ったチームメイトたちが山越のために再び集結し、サポートをしていくストーリーです。
サブストーリーとして、箱根駅伝を学連連合が走ります。7年前の学連選抜のキャプテン浦が、学連連合の監督として指揮をする。7年前とは違い、オープン参加の学連連合の選手は、モチベーションが上がらない選手たちも、山城と接触したことで、走る意味を見出していきます。徹底的な個人主義を貫く山城は語る、
「駅伝とは、メンバー全員が区間記録で走れば勝てる競技」であると。
そんな山城も、解散寸前から他社への移籍が決まった所属チームでの、最後の駅伝に出場する。オープン参加となり、状況は7年前と似ている。1ヶ月後に引退をかけたマラソンレースを控えている状況で、山城は何を想って走るのか?
誰かのために走るということ
前作も同様に、本作も「駅伝とは何か?」という疑問が、根底に流れています。
チームのためだが、自分のためでもある──それが駅伝という競技の矛盾であり本質でもあるのだ。引用:チーム
駅伝メンバーの一員となれば、自分の走りに責任が生まれます。自分がトラブルをおかせば、大幅なタイムロスで順位を下げてしまいますし、最悪の場合、襷が繋がらない可能性もあります。
一人でレースに出場するよりも、プレッシャーはかかりますが、一方で責任を全うすべく、大きな力が出て、良いタイムが出ることもあります。人は自分のためよりも、誰か他人のために頑張った方が、大きな力を出せるのです。
選手の息遣い
前作も本作も、レース中の描写が細かく書かれてます。選手は何を考えながら走っているのか。前のランナーを抜く際の駆け引きで、何を考えているかも詳しいです。
走っているスピードをマックスを100%として、どの程度で走っているのかの描写が、個人的には参考になりました。私も年に一度、駅伝大会に出場するので。
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