佐々木俊尚さんの著書は、その時代にふさわしい新しい視座を与えてくれます。
Web3と呼ばれる最新の風潮をよく理解できていなかったので、佐々木さんの新刊を読みました。
さすがの内容でした。Web3の肝であるトークンエコノミー、メタバース空間、自動車の自動運転技術は、技術の軸は違えど、共通の目標に向かっているという、佐々木さんの視座に深い感銘を覚えました。
自動車の自動運転は、分散化を促す
もともとショッピングモールというのは、店舗と車とお客さんを一か所に「集中」させるという構造だった。しかし自動運転の世界では、このような「集中」は必要なくなる。それどころか、「集中」しているよりも「分散」しているほうあ、移動の面倒さが少なくなり、便利になるのである。
一番わかりやすいのは、自動車の自動運転でしょう。
自動運転が実現すれば、物理的な移動は最適化されます。移動中は人々は仕事をしたり、娯楽を楽しんだりと、自由に過ごすことが可能になります。
人々は車を所有せず、アプリで自動運転タクシーをその都度呼んで、移動するようになるでしょう。
すると、これまでは、巨大ショピングモールのように、お店を一箇所に集中させたほうが効率が良かったものが、分散させたほうが効率がよくなる可能性があります。
大きなモールの中を歩くより、自動運転のタクシーで移動した方が楽になるからです。
メタバースは都市の姿を変える
さらにメタバースによるコミュニケーションは、もっと重要な価値も持っている。それは「自分が他人から承認されている」というような感覚が生まれることである。
メタバース技術が向上すれば、zoomより更に「近い」「リアル」なコミュニケーションが取れるようになります。
遠く離れている同士でも、すぐそばにいる感覚で、会話ができるようになるでしょう。
この技術も、自動運転と同じく「分散」を促します。近くに住んだり、同じ場所で仕事をする必要がなくなります。
自動運転とメタバースは、都市の姿を変えていく力を持っていると、本書では語られています。
トークンが新しい人々の繋がりを作る
トークンエコノミーやブロックチェーンなどによる分散化は、投機的なブブルではなく、ただカネ儲けのためだけでもなく、一般社会で人と人が関係し承認されるためのテクノロジーとして使われるようになっていくはずである。
そんな新しい都市では、どんなビジネスが生まれていくのか。その一つがトークンエコノミーです。
トークンエコノミーとは、暗号資産の仕組みを利用して、個人が株式のようなものを発行して、支援してくれる人に購入してもらう仕組みです。
人々がトークンを通じて、支援したりされたりします。クラウドファンディングを更に拡張したような感じでしょうか。
過去にも暗号資産と組み合わせたサービスがありましたが、今は終了しています。まだ時代が早かったようです。
現在は、トークンはいわゆる「山師」たちの一攫千金的なマネーゲームの域を出ていないように見えます。確かに。
しかし、今後、こなれてくるにつれて、新たなつながりが生まれてくるでしょう。そのときに備えて、自分が周りから「推される」存在になるように、努力を続けていく。
そんな感じでしょうか。
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