2022年7月29日に開催された、富士登山競走山頂コースに出場しました。
関門を通過し、山頂までたどり着いたのですが、制限時間4時間30分に間に合いませんでした。
五合目までのトレイルで脱水して、後半ペースダウンしてしまいました。
今後のために、失敗した原因を詳しく分析しておくことにします。
2022年7月29日に開催される、富士登山競走山頂コースにエントリーしてしまいました。コロナ禍もあって、なんと3年ぶりの出走です。
走力も落ちているでしょう。勢いでエントリーしてしまいましたが、ちょっと後悔してしまいました。
でも、出場するからには、なんとか完走したいです。
事前のレース戦略
2018年に、山頂コースを完走しています。その時の経験を元に考えました。
- 第71回富士登山競走山頂コース 日本一過酷な山岳レース 完走しました!2018年7月
- 富士登山競走山頂コース 馬返し・五合目関門タイム、ゼッケン番号と完走率の相関
- 富士登山競走 山頂コース完走コンプリートガイド
目標ラップ
今回の目標は「完走」です。久々の富士山レースということもあり、安全に確実に登っていきたいと思います。
戦略は、過去のレースを参考にします。前半の、
- 馬返し 1時間3分以内
- 五合目 2時間以内
はできるだけ死守して、後半は八合目関門の3時間50分以内通過を目指して、登っていきます。
細かい目標タイムはこちら。
0:15 北口本宮冨士浅間神社給水所
0:40 中茶屋給水所
1:05 馬返給水所
1:28 二合五勺給水所
2:00 五合目給水所
2:15 六合目給水所(安全指導センター)
2:40 七合目(花小屋)
3:15 八合目給水所(太子館)
3:28 八合目給水所(白雲荘)
3:50 八合目関門(富士屋ホテル)
4:00 八合五勺給水所(御来光館)
4:15 九合鳥居
水分補給
これまでのレースとの大きな違いは「給水」です。
六合目と七合目の給水がなくなっています。五合目の給水をすぎると、次は八合目までありません。
時間でいうと、1時間15分ほど無給水となることになります。かなりキツイのでは。
ということで、私はマイボトルを持参して、五合目でマイボトルに水を補給をして、ウエストポーチにボトルを刺して、逐次水分補給をしようと考えています。
ボトルは、プロテインのシェイカーを持っていこうと思ってます。口が大きいので、水を入れやすく、飲みやすいかなと。
エネルギー補給
SAVASのジェルを3つ。カフェイン系ジェルを1つ。メダリストを4つ持っていく予定です。
馬返しにドーナツ、五合目にドーナツとパンがあるので、しっかり頂こうと考えています。
ジェルは七合目(花小屋)、八合目給水所(太子館)、八合目給水所(白雲荘)、八合五勺給水所(御来光館)と、七合目以外は給水のタイミングで。
メダリストは、1時間ごと(馬返し、五合目、太子館、御来光館)に摂取する予定です。
朝食
宿ではおにぎり2つとお味噌汁。スタート地点で、おにぎりとアンパンを食べる予定です。
エネルギー切れを起こさいないよう、しっかり食べます。
トレーニング
7/20時点で、近所の15%400m坂道ダッシュを43本。小さな山の石段200mを3kg背負ってダッシュ12本。
そして、富士登山道での試走を1回(馬返し-山頂)行いました。
富士山須走五合目競走(23.6km)にも参加しました。
梅雨明けしたのに、雨が降る日が多く、坂道が湿って走りにくかったですが、良いトレーニングができました。
- 7月 15%400mダッシュ25本 八幡山ダッシュ12本
- 6月 15%400mダッシュ15本
- 5月 15%400mダッシュ3本
ヘルメット
今回から「ヘルメット着用」が義務となっています。帽子のインナーに入れるタイプのものを六合目で貸し出ししてくれるそうですが、今回は完走ギリギリなので、事前に同じものを購入して、スタートからかぶっていくことにしました。
コロナ関連対応
私は、ワクチン3回目摂取したので、
- 健康チェックリスト(アプリ)
- 新型コロナワクチン接種証明書アプリ
の提示をします。前日でも、当日でも受付OKとのこと。
その他
完走できても、できなくても、下山する前に、山小屋で食事をしようと考えています。エネルギー不足だと、下山に時間がかかります。
雨が少ないと、多くのランナーが下山する下山路の砂埃がすごいことになります。私はハードコンタクトレンズなので、ホコリに弱いです。
第71回大会では、山頂コースを完走したのですが、下山時に目をやられてしまって、なかなか下山できず、下山バスに乗り遅れるところでした。
水中メガネを持っていくことを考えています。
スタート前
山中湖の近くの宿に前泊しました。自宅で夕食のパスタを食べ、入浴を済ませてから出発。
宿に向かう前に、コロナ関連の事前受付をしました。ワクチン3回摂取証明と、健康チェックシートを提示しました。(Googleマップで調べた場所がズレてたので、ちょっと焦った)
20時前には宿に到着。ウェアと持ち物のチェックをして、21時には就寝。雷が鳴り、雨が降っていたので、よく寝付けず。
4時に起床して、おにぎりを2つと味噌汁と食べました。腹圧体操をしてからトイレに。それなりに出て一安心。
4:50くらいに出発。鐘山駐車場には5時過ぎに到着。コロナ受付は空いていたので、当日でも問題なかった。バスもスムーズに乗れました。
5:30には、会場に到着。日焼け止めを塗ったりなどの準備をして、6:15くらいに荷物を預けました。
6:30からスタートラインに並びました。道の左端の縁石に座ってスタートを待ちました。すでに暑かった。右端の方が、日陰になるかも。
今年は宮下さんの「エイエイオー」はありませんでした。コロナ対応かな?
7:00丁度にスタート!
馬返しまで
中央通りから国道139号線へ。ここから登りが永遠続きます。
ウエストポーチの揺れが大きい。SAVASのシェイカーが大きすぎたか? スマホも重い。ちょっと走りにくかった。ラップは5分/kmを切るくらいで走れてる。
浅間神社入り口で13:50くらい。良いペース。
ここで初めての給水。シェイカーの半分くらい水を入れて飲みました。後で確認したら、完走した2018年はカップ3杯補給していました。全く足りてませんでした。
中ノ茶屋までは、落ち着いて走れてた。ペースは5分/km台をキープできてました。中ノ茶屋には38分ほどで到着。まあまあです。
こちらの給水はペットボトルをもらい、半分飲んで、飲みきれない分はシェイカーに移して飲みながら走りました。
ペットボトルは小さめ。おそらく300mlくらいかな。2018年は、なみなみ注がれたカップを2杯補給していたとあるので、補給が不足していたようです。
馬返しまでは、しっかり走れていたとは思いますが、かなり汗をかいていた。気温が上がっていたことと、給水不足が、段々足にきてたかなと。
五合目関門まで
馬返し到着は1:05:05 。2018より3分も遅い。ちょっとここで焦ったかもです。給水はシェイカー半分くらい。
実は、給水タンクの蛇口の使い方を間違えていて、うまく水が出ません。正しい使い方を知ったのは、頂上の給水でした。蛇口を一番右まで回さないと水が勢い良くでません。水がチョロチョロしか出ず、タイムロスになりました。
馬返しにはパンやドーナツがあると聞いていたのですが、見つからず。「おや?」と思いつつも、トレイルへ。
トレイルの登りがキツく感じました。汗の量も多い。何度か足が痙攣しました。五合目を過ぎれば、使う筋肉が違ってくるので、ここでの痙攣は大丈夫と考えてました。2018年も痙攣してます。
しかし、後から考えると、痙攣の度合いが今回の方が大きかったです。
喉の乾きを感じるようになり、手持ちのジェルを一つ飲みました。
なんとか耐えこらえて、5合目佐藤小屋の真下までたどり着いた時、全身の疲れを感じました。2018年はそういう感じではなかったです。
フルマラソンの30km付近で感じる、失速感に似ています。この時初めて「脱水しているかも」と気が付きました。
不慣れなセルフ給水で、給水量が不足している中で、タイムを合わせようとオーバーペース。気温の上昇もあって、発汗量が増えていました。
五合目到着タイムは2:08:48。2018年より10分も遅いタイムでした。
八合目関門まで
五合目の給水で500mlペットボトルをもらい、六合目まで飲みながら歩きました。
おそらくこのままでは、完走できない。六合目でリタイアしてしまおうか。そんなことを考えました。これからはずっと、「リタイア」が頭の片隅に残ることになります。
水分を補給し、ペースを落としたせいか、六合目に到着したころは少し元気になっていました。その勢いで砂礫道へ突入。しかし、まったく足が前に進まず。ダメージはかなりのものだと理解しました。
六合目でリタイアすれば良かったと思いましたが、登りかけてしまった以上、戻ることもできず。八合目関門は通過できないだろうから、そこで下山しようと考えました。
七合目の花小屋に到着すると、岩場が始まります。足だけでなく腕の力も利用できるので、楽に感じます。
水分が体に行き渡ったのか、ここからペースアップ。前のランナーを抜けるようになってきました。
闘争本能に火がついてしまったのか、ガンガン登ります。もしかしたら、完走できるのではないかという思い(勘違い)もありました。
頂上まで
しかし、八合目大志館に到達し、再び砂礫道に戻ると、ペースがガタ落ち。足は戻っていませんでした。
岩場で上半身の力も使い果たし、満身創痍に。
時計に目をやると、もうすぐ4時間。八合目関門はさらに上。「ああ、ここでレースは終わり。キツかったな」と諦めました。
ところが、のんびりタラタラ歩いていると、上の方から「関門閉鎖まであと2分!」という声が。あれ? 制限時間過ぎてるんじゃないの?と思いました。
関門地点へたどり着くと、4時間を過ぎているのに、関門はまだ閉鎖されてませんでした。よくわからないけど、まだレースを続けられる。
今回はコロナの関係で、ネットタイムで最終タイムを決定するということで、スタート時に後ろのブロックからのランナーに不公平にならないように、5分ほど関門を遅らせたのかもです
けど、一度スイッチは切れてしまっています。よく考えれば4時間30分以内にゴールにたどり着くことはほぼ無理。なんのために登っているんだ?という思いも。
おそらく自分の後ろには、ごくわずかのランナーしか残っていないです。多くのランナーは関門閉鎖で、下山を余儀なくされています。
完走はできなくても、山頂を目指せるのは、価値あることではない? せっかく富士山を登っているのだから、山頂まで登ってこようと、気持ちを新たに登り始めました。
体は疲れ切ってますし、空気が薄いせいもあり、体がうまく動かない。すると、ゴール下の岩場に突入。ここは再び腕も使えるので楽になります。
最後の鳥居をくぐり、ゴール地点にたどり着くと、タイム測定器が動いていました。
4:42:52
2018年より28分も遅いタイムでした。
ゴール後
とにかくお腹が空いてました。ジェルは途中ですべて摂取。山小屋で、900円のカップラーメンを頂きました。美味しかった。
そういえば、5合目にも食料はなかったな……。お腹が空くはずです。
5分ほどで食べ終え、すぐに下山を開始。私は下りが遅くて、下山に2時間くらいかかります。最終バスは14時。ギリギリです。
下りはスムーズに降りれました。2018年に苦しめられた、砂埃は今年は無かったです。水中メガネを持っていったのですが、必要ありませんでした。
七合目トイレに1時間7分
六合目に1時間26分
荷物置き場に1時間45分
バス停に1時間53分
に到着しました。
バスで下山したのは、富士吉田の道の駅。500円クーポンがあったので、お土産にフジヤマビールでも買おうを思ったら、レジが大行列で断念。
屋台の焼きそばを食べました。人生の中で一番美味しい焼きそばでした。お腹が空いていた。やっぱりエネルギーも不足していたみたいです。
そこから歩いて鐘山の駐車場へ向かいました。すでにほとんどの車が帰路についていて、ガラガラでした。着替えをして、15:30頃にようやく出発しました。
レースの反省
給水の失敗
初めてのセルフ給水で、まごついてしまいました。結果的に給水量が絶対的に足りず、五合目までに脱水してしまいました。
給水タンクの蛇口の使い方がよくわからず、水が出なかったり、時間がかかったりとかなり焦りました。
2018年の記事を読むと、浅間神社入り口で三杯の水分を補給。その後も2杯は補給したと書いてありました。「多すぎない?」と感じるくらい給水はしたほうが良いと思いました。
体との対話
今回は2018年より気温が高めでした。五合目までのトレイルで、かなり汗をかきました。
タイムが遅れていたため、かなり負荷をかけてトレイルを登りました。今思えば、タイムは無視して、体感重視で体を動かして、余力を残して5合目を通過したほうが、山頂まで動けたのではと思います。
体との対話は大切だと実感しました。
持ち物の失敗
今回、セルフ給水用にプロテインのシェイカーと、スマートフォン、下山道用の水中メガネを持っていったところ、ウエストポーチが重くなったのか、ポーチの重心が体から離れたせいか、ポーチが揺れて走りにくかったです。
セルフ給水は、空の500mlのペットボトルでよさそう。蛇口からの給水は問題ないですし、飲みながら走れます。
iPhone12はやっぱり重いです。レース中は通信する必要はなく、カメラさえ使えれば良いので、次回は軽くて小さいお古のiPhone5sを持っていきます。
水中メガネは、事前の天気によります。今回は前日に雨が降ったので、砂埃は少なく、水中メガネの出番は無かったです。
走力の低下
今回、富士山を目指すにあたって、坂道ダッシュを中心にトレーニングをしてきました。馬返しまでのロードはうまく走れたと思うのですが、トレイルがイマイチでした。山練をもっとこなす必要がありました。
あと、根本的に走力が下がっていることも原因でしょう。完走した2018年はサブスリーに近い走力を持っていましたが、コロナ禍でレースがなくなってしまい、走力が落ちていました。
今回のレースの準備で、ある程度走力が戻ってきたので、引き続きトレーニングをして、秋冬のレースを目指そうと考えています。
大会への要望
ひとつは補給の内容です。本大会の水分補給は水だけで、スポーツドリンクがありませんでした。コロナの関係で、スポドリの供給が難しいこともわかりますが、熱中症などのリスクもあるので、来年は復活させて欲しいです。
あと、馬返しと五合目のパンやドーナツといった補給が、見当たりませんでした。食べられちゃったのかな?これらの補給を計算に入れて、ジェルの準備をしているので。もし直前で供給を辞めたのなら、連絡が欲しいです。
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最後に、大会関係者、ボランティアのの皆様、沿道の応援、そして一緒に山頂を目指した、全てのランナーに感謝します。
悔しいー!
主催者によりますと、山頂までのコースの優勝タイムは、男性が2時間51分50秒、女性が3時間15分12秒で、完走率は44.9%でした。
※本記事は2022/7/21に投稿した記事をリライトしました。