地方に住んでいても、住んでいなくても、自分が住んで居る地域の活性化には興味があるはずです。
ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?
IDEA*IDEAで絶賛されていたので、取り寄せて読んでみました。
過疎の町の米をブランド化するために、町の公務員が立ち上がります。ローマ法王にお米を献上することに成功したことを足がかりに、一気に地域を活性化していく、痛快なお話でした。もちろん全て実話です。
とにかく実行あるのみ
たとえば、天井の電球が切れていたとする。
それをみんなえ下から見て、あーだこーだと騒いだところで灯りはつきますか?
誰かが電球を取り替えないと、明るくはならないのです。
via: P1
その場に留まったまま、永遠と会議を続けても、議論は尽きてきます。もちろん事前の議論は重要ですが、今はアメリカのコピーをすれば上手く行く昔の良き時代ではありません。
走りながら、新しい知見を取り込みながら、議論していく方が効果的です。そもそも、議論すれば上手く行くのであれば、誰でも上手く行くはずです。新しいことを発見しながら物事を進めていくことこそが、これからの考え方です。
地域が持つ本質的な強さを見つける
本書の舞台である、石川県羽咋市の中山間地域にある神子原地区は、65歳以上の人口は半分以上をしめる「限界集落」と呼ばれる状況でした。
しかし、この地域で取れるお米は、山間の清流を利用して作られていて、大変美味しくて、全国ランキングにも名を連ねるくらいだそうです。そこで「神子原」の「神」を、キリスト教に強引に結びつけて、ローマ法王へお米を献上して、ブランド化に成功します
どんな地域にも、強みが必ずあるはずです。自分たちの地域の魅力を、時には外部の人の視点も利用して、徹底的に洗い出して、「ほーれ、これが我々の地域の心臓だ」といった具合に、明確にアピールすることができれば、必ず何かが動き出すはずです。
お城や博物館を建ててみたりといった箱モノ行政ではなくて、まず、地域の本質を見抜くことで、筋の通った地域おこしに繋がるのだと思います。
「近くにあるものを過小評価する」性質に気をつける
自分の強みは、人に指摘されて初めて知ることが多いのと同じで、地域の魅力も意外と住んでいる人にとっては、当たり前すぎて気がつかないことが多いです。身近なものを過小評価してしまうのです。
本書では、あえて自分の街ではPRせずに、他県のマスコミに羽咋市が盛り上がっているという情報を流して、他県から自分たちの魅力が伝わってくる「外堀作戦」を積極的に行っていました。
地域のイベント等がイマイチ盛り上がらないときは、身近のPRはほどほどにして、隣県や隣町へのPRを強化する方法もあるということです。
マスコミおこしこそ、地域活性化の起爆剤
本書の主役であり、著者でもある高野さんは、公務員の方ですが、元々は東京で深夜番組などの制作をしていて、メディア関係の方だったそうです。
よって、テレビ等のメディアが、どんなネタを欲しがっていて、どうアピールすれば食いついてくるのか、体感的に知っている方なのだと思います。
地域おこしはマスコミおこしだときっぱり言い切っています。面白いことを始める前には、マスコミへプレスリリースを送り、ニュースや記事にしてもらうように働きかけるのです。
地域局や地方の新聞は、ちょっとしたネタでも取り上げてくれます。意外と地方にはネタがないからです。地方マスコミを使わない手はありませんよね。
可能性の無視は最大の悪策である
可能性がゼロではないのに「どうせ無理だよ」と何もしないうちにあきらめてしまうことは、本当にもったいないと思いました。実は何かを達成するかしないかよりも、達成すべき何か、つまり「問題」や「課題」を見つける方がはるかに難しいのです。
逆に言えば、問題や課題が明らかになった時点で、7割は達成できているようなものです。達成すべきことをひらめいただけでも、すごいことなのです。
本書ではブッシュ大統領に手紙を書いたり、アメリカのNASAから宇宙船を買い付けたりと、ハチャメチャな行動を次々に起こしていきます。行動を起こすことの大切さを知ることができるでしょう。
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