2018年7月28日に開催された、第71回富士登山競走山頂コース。朝の気温は20℃程度と涼しく、気候的にはベストコンディションにもかかわらず、完走率は43%と、低い水準でした。
猛暑による砂礫道の乾燥、外国人登山客の増加、五合目関門位置の変更、山頂レース出場権利を獲得できる五合目制限時間の繰り上がりなど、レースを取り巻く環境は変化しています。
来年以降のレース戦略を練るために、今年の走者タイムデータを分析して、何が起きていたのか調べてみました。
【追記2018/8/17】ゼッケン番号と完走率の相関を調べてみたところ、きれいな相関がでました。ゼッケン番号は走力順。結局走力なんですよね。
スタートブロックと完走率の相関
- Aブロック(5合目1時間50分以内) 90%(91.6%)
- Bブロック(5合目2時間10分以内) 50%(63.9%)
- Cブロック 7%(15.7%)
※カッコ内数値は2015年(全体の完走率は53.7%)の完走率。
以前はBブロックなら64%。つまり2/3は完走できたのですが、今回は50%と1/2です。Bブロックでもうかうかできない状況です。
Cブロックにいたっては、7%と10人に一人。鍛え上げて、かなりの走力をつけて臨まないと、完走は難しい状況です。
ゾーン | 総人数 | 完走 | DNF | 完走率 |
A | 394 | 354 | 40 | 90% |
B | 1163 | 579 | 584 | 50% |
C | 669 | 46 | 623 | 7% |
馬返しタイムと、完走率の相関
2015年の記録によれば、馬返しを1時間5分以内で通過できれば、90%完走できたのですが、今年は1時間4分台のランナーは62%。1時間5分台だと48%となってしまいます。
完走率90%を確保するには、1時間3分以内で馬返しを通過する必要があります。
それ以降だと、ランナーの人数が急激に増えることも、完走率に影響を与えてそうです。人数が多いと渋滞が起きやすくなります。1時間以内なら、周りを気にせず走れそうです。
タイム | 総人数 | 完走 | DNF | 完走率 |
0:58-59 | 60 | 57 | 3 | 95% |
0:59-00 | 69 | 64 | 5 | 93% |
1:00-01 | 79 | 75 | 4 | 95% |
1:01-02 | 113 | 102 | 11 | 90% |
1:02-03 | 112 | 101 | 11 | 90% |
1:03-04 | 145 | 110 | 35 | 76% |
1:04-05 | 144 | 89 | 55 | 62% |
1:05-06 | 156 | 75 | 81 | 48% |
1:06-07 | 131 | 35 | 96 | 27% |
1:07-08 | 142 | 36 | 106 | 25% |
1:08-09 | 130 | 16 | 114 | 12% |
1:09-10 | 142 | 7 | 135 | 5% |
1:10-11 | 98 | 0 | 98 | 0% |
1:11-12 | 78 | 1 | 77 | 1% |
1:12-13 | 68 | 0 | 68 | 0% |
1:13-14 | 70 | 0 | 70 | 0% |
五合目関門タイムと、完走率の相関
90%完走率を確保するには、2時間4分以内。2時間5分台だと70%。それ以降は、一気に40%まで下がってしまいます。
2時間4分を目指したいところです。
タイム | 総人数 | 完走 | DNF | 完走率 |
1:55-56 | 37 | 37 | 0 | 100% |
1:56-57 | 49 | 45 | 4 | 92% |
1:57-58 | 37 | 34 | 3 | 92% |
1:58-59 | 49 | 47 | 2 | 96% |
1:59-00 | 44 | 38 | 6 | 86% |
2:00-01 | 48 | 45 | 3 | 94% |
2:01-02 | 54 | 46 | 8 | 85% |
2:02-03 | 41 | 34 | 7 | 83% |
2:03-04 | 58 | 56 | 2 | 97% |
2:04-05 | 53 | 36 | 17 | 68% |
2:05-06 | 63 | 45 | 18 | 71% |
2:06-07 | 61 | 26 | 35 | 43% |
2:07-08 | 65 | 30 | 35 | 46% |
2:08-09 | 68 | 29 | 39 | 43% |
2:09-10 | 80 | 17 | 63 | 21% |
2:10-11 | 67 | 6 | 58 | 9% |
2:11-12 | 73 | 10 | 63 | 14% |
2:12-13 | 85 | 4 | 81 | 5% |
2:13-14 | 82 | 1 | 81 | 1% |
2:14-15 | 101 | 0 | 101 | 9% |
ゼッケン番号と、完走率の相関
BとCゼッケン番号と、完走率の相関を調べてみました。
ゼッケン | 番号 | 完走率 |
Bゼッケン | 600-699 | 83% |
700-799 | 72% | |
800-899 | 72% | |
900-999 | 69% | |
1000-1099 | 69% | |
1100-1199 | 61% | |
1200-1299 | 43% | |
1300-1399 | 35% | |
1400-1499 | 31% | |
1500-1599 | 25% | |
1600-1699 | 26% | |
1700-1799 | 21% | |
1800-1871 | 15% | |
Cゼッケン | 1900-1999 | 11% |
2000-2099 | 10% | |
2100-2199 | 4% | |
2200-2299 | 6% | |
2300-2399 | 6% | |
2400-2499 | 6% | |
2500-2599 | 3% | |
2600-2668 | 0% |
完走にはBゼッケン以上とよく言われますが、Bゼッケンの中でも、1099番までは完走率70%ですが、それ以降の1100番台は61%、1200番台は43%、1300番台は35%と下がり、1800番台は11%まで低下します。
ゼッケン番号は、過去のレースの五合目タイム順にナンバリングされているため、番号が若いランナーほど走力が高いと言えます。
Bゼッケンを取れても、1100番以降のランナーは完走が難しいということを、意識しておきましょう。
考察
五合目〜山頂の砂礫道が猛暑で完走して、確かに滑りやすくなっていました。
外国人登山客の増加で渋滞が多かったという情報も聞きました。
最も明確なのは、五合目関門の位置が変更になり、距離が200mほど伸びたことです。
200mというと、キロ6分で走ると、1分12秒かかります。
今回のデータを眺めていると、例年の知見より、1-2分ほどスライドしている感じです。
詳しい因果関係は不明ですが、タイムがギリギリのランナーは、例年より1分速いプランを立てないと、完走できなくなるということです。
(関門移動による佐藤小屋渋滞緩和の効果もあったと思います。色々な要因を加味して、合計1分レースが難しくなったということ)
そして、ゼッケン番号と完走率には明確な相関があります。
完走率が大きく下がる1100番前後のランナーの五合目持ちタイムは、2時間ジャストくらいでしょうか。
スタートブロックによるスタートロスの違いは、最後尾でも2分くらいです。
つまり、走力がないとBゾーンでも完走できませんし、Cゾーンでも走力があれば、完走できる。
結局はランナーの走力なのです。
来年(2019年)以降の対策
山頂レース参加要件が五合目2時間20分に切り上がって2年目。2時間25分で参加できるのは第69回ランナーのみです。
全体的にランナーの走力が上がるため、これまで中堅と言われるゾーンも人数が増えます。円安が続く限り、外国人登山客も多いでしょう。
渋滞を避けるために、五合目までになるべく前の位置にいることが、より重要になってきます。
五合目を2時間以内で通過できる走力をつけることが、山頂へのパスポートになるでしょう。
【参考】
- 第71回富士登山競走山頂コース 日本一過酷な山岳レース 完走しました!2018年7月
- 富士登山競走 山頂コース必勝法まとめ
- 山頂コース試走レポート 富士登山競走
- 富士登山競走五合目レース好タイムで山頂レース権利ゲット! 2017年7月
- 富士登山競走(5合目レース)必勝法
これまでポストしてきた記事をまとめて、コンプリートガイドを公開しました。
富士登山競走 山頂コース完走コンプリートガイド