もうすぐ震災から一年が経ちます。震災から受けた社会のダメージが顕在化してきました。厳しい流れは今後も続くでしょう。その中で、我々は何をよりどころにしていけばよいのか?
「目の前のことを頑張る」は聞こえは良いですが、これからはもう通用しないと思いました。ただ頑張るだけではなく、一人ひとりがビジョンを持って、日々の努力を自分の評判に蓄積していけないと、グローバル競争の中で、取替えがきく人材になってしまいます。
神話の崩壊
戦後の日本人の人生設計を支配してきた四つの神話が崩壊してきた様を順に述べていきます。
それは「不動産神話」「会社神話」「円神話」「国家神話」で、人生の経済的な側面からいえば、ポスト3.11とは「神話」を奪われた世界を生きることです。
via: P4
震災から一年が経とうとしています。半導体製造メーカーのエルピーダが自力再建を断念して会社更生法の適用を申請し、経営破綻してしまいました。パナソニックは8000億円近い赤字を計上しています。40型の液晶テレビが3万円台で売っている時代ですので、無理もないですね。
人口が減っていけば、不動産の平均価格は下がることは、素人でも分かります。企業はグローバル競争に晒されて、コスト競争に勝てない状況です。国家の借金が膨らむ一方で、抜本的な改革が今後行われなければ、インフレで清算されることになるでしょう。手元の札束が紙くずになってしまう可能性があるのです。
世界市場を丸ごと投資する
世の中には、世界の市場を丸ごと投資できるETFが存在します。通過の分散もしてくれるため、為替リスクに中立です。究極の分散投資です。企業の株式とは異なり、世界全体の市場がゼロになることはありません。
しかし世界の株式市場をまるごと買うことができるのなら、このような悩みはなくなります。なぜならその場合、理論上、選択肢は次のふたつしかなくなるからです。
1)世界の株式市場は長期的に拡大する
2)資本主義はもう限界で、これから市場は縮小するしかない
via: P181
2)の悲観論ならば、何をやっても無駄です。1)の楽観論ならば長期的に必ず株価は上がります。よって、どちらにしろ、世界を丸ごと買っておくことが一番楽かつ効率的な投資だという考え方が紹介されていました。理にかなっていると思いました。
もちろん個別株を吟味してリスクを取って投資をしたほうが当たったときのリターンは大きいです。そのかわりハズレもあります。そういう一喜一憂する時間を、人生もっと楽しいことに使おうという趣旨です。
ただし、まだ流動性が不十分とのこと。新しい投資信託で、まだ知名度が低いのかもしれません。今ある資産を守る一つの方法として覚えておきたいです。
評判が資産となる
シリコンバレーの会社では、社員のほとんどがプログラマーなどのスペシャリストで、その業績はプロジェクトごとに評価されます。
会社が経営に失敗して倒産しても、重要なプロジェクトにかかわっていれば、その評価によって他社への転職が可能になります。
だから彼らは、それぞれがプロフェッショナルとして会社の利益に貢献すると同時に、自分の仕事ができるだけ目立つようにして、個人のキャリア(評価)を労働市場で最大化させようと努力します。
via: P156
社会での評判・信用は、周りに有益なものを与え続けることによって得られます。評判こそが競争力の源泉です。預貯金より大切です。企業も個人も、周りから評判を得ようと努力しています。
インターネットが普及し、ソーシャルメディアによる情報交換が活発化していきています。コンテンツを、コストゼロで、一瞬にして日本中、世界中に伝えることが可能になりました。評判は多くの人に与えるほど大きくなりますので、ソーシャルメディアを利用したマーケティングは、大きな力となっていくでしょう。もちろん競争は激しいですが、上手くいったときのリターンは果てしないものになります。
だれもがジョニー・デップやレディー・ガガになることはできないとしても、こうしたサブジャンル(あるいはサブジャンルの中のサブジャンル)でファンやマニアの評判を獲得することは十分に可能です。
via: P159
日本の仕組みは閉鎖的です。いくら企業内の閉じた世界で信用を蓄積したところで、他の会社やマーケットではまったく役に立たないことが多いです。世にアピールできるようなコンテンツを生み出して、多くの人に与えていくような活動をしていくことが、震災後の世界を生きるためのリスクヘッジとなるでしょう。
好きなこと極めて行けば、共感してくれる人が周りには数人しか居なくても、日本、そして世界には数千、数万人のオーダーで存在するかもしれません。ネットでつながることによって、好きなことで食える時代がやってきているのです。
震災時の情報流通と、周囲とのつながりを求めて、ソーシャルメディアが盛り上がってきています。ソーシャルメディアの拡大に上手く乗れる今なら、やりやすいと思います。旗は早く立てた者が勝ちです。
「果ての国」を見てみたい
映画産業が果ての国の仲間入りをしたのは、テクノロジーの進歩によって、きわめて安価に(ほぼゼロコストで)コンテンツを複製できるようになったからです。
このイノベーションによって、大ヒットすれば世界中の市場で販売されて、巨額の富を生み出すことができるようになりました。
via: P146
企業の社員として活動していると、あるレベルの給与が保証される代わりに、伸びしろも少なくなります。独立して活動する場合でも、以前は地理的・空間的な制約により、上限は存在していました。しかし、現在は、インターネットの普及と、ソーシャルメディアの拡大により、地理的・空間的な制約を超えた活動ができるようになりました。
そこには、一握りの人にしか見れない、「果ての国」という世界があるのです。多くの人に与えることで、大きな信用を得られる世界です。果ての国へ行くための最適な母艦は、現時点ではおそらく「ブログ」だと考えています。ブログでアイデアを発信し続けていくことで、果ての国への道を探してして、私もまだ見えぬ地平線を見てみたいと考えています。
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