クラウドを駆使して、頭脳を効率的に働かせる方法

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大学の研究者になりたいという夢があったのですが、現実の波に飲まれ、修士号を取得した後、企業へ就職しました。いま、自分が選択した道に後悔はありませんが、大学の研究職には今もなお、憧れを持っています。

理系のためのクラウド知的生産術 (ブルーバックス)

大学などの公的研究機関で日々行われているワークフローに興味を持ち、本書を手にとりました。泥臭い事務処理やデータ処理を効率化して、思考の時間をいかに確保していくかは、公的機関、企業を問わず、技術職の永遠のテーマです。

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メール、ファイル、メモをクラウド化

我々が取り扱うデータは、種類は限られています。基本的に、メール、ファイル、そしてメモの3種類です。これらのデータをクラウド化する方法は確立しています。メールはGmail、ファイルはDropboxSugarSync(シュガーシンク)といったストレージサービス、メモはスマートフォンとEvernoteの組み合わせで、かなりの部分をカバーできます。

メモについては、どうしても紙とペンで書いたメモが残ってしまいます。これも、スマートフォンのカメラで撮影して、Evernoteに取り込んでしまうことで、すべてのデータをクラウドで持つことが可能になりました。

タスクリストをクラウドに

著者はGDTの考え方を勧めています。やること、気になることすべて書き出して、頭の中から追い出してしまうことで、脳を効率的に利用する考え方です。以前はノートや専用のファイルを用意してタスクを書き出していたのですが、持ち歩くことができなかったり、持ち歩いても同期に問題があったりと、使い物にならないケースが多かったです。

クラウドにタスクリストを保存しておくと、いつどこでもリストを確認できます。終了したらリストから消して、新たなタスクを加えることができます。クラウドを脳の外部ストレージとして利用して、気になることを書き出しておくことによって、いつも何かに追われているような感覚がなくなり、頭脳を効率的に働かせることができます。

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チリツモは侮れない

これまで手動でやっていた面倒な作業を、ツールを利用して自動化することで、抜け・落ちが無くなり、時間を節約することができ、精神的・肉体的な疲労からも開放されます。例えば、「じゅうしょ」と入力すると自宅の住所が一発で変換できるように登録しておけば、それ以後の住所入力が格段に早くなります。個々の効果は小さくても、長い目で見ればチリツモで結果的に多くの時間を生み出すことができます。

本書には、ちょっとした時間節約のテクニックも多く紹介されています。研究者にとって重要な過去の論文の調査、保存も現在はクラウド化された便利なツールがあるそうです。企業、公的機関を問わず、技術的な業務をしている人すべてに参考になるはずです。

すべてはアイデアの実行のために

Gmail、ネットストレージ、Evernoteでデータを管理すると、スマーフォンがあれば、いつでもどこでもデータにアクセスでき、思考することができます。文章を書き始めることができます。これってすごいことだと思うのです。

なぜなら、仕事のアイデアや新しい発想は、プライベートの時間に生まれることが多いからです。新しいアイデアは、まったく別の情報どうしの組み合わせである場合が多く、プライベートの時間に仕事とはまったく異なる情報にであったときに触発されるからです。

観光地を散策中に、ひょんと顔をだしたアイデアを、その場でスマートフォンでクラウドに書き込むことができるのです。同行している家族からひんしゅくを買うかもしれませんが、一度通り過ぎてしまったアイデアは、二度と戻ってきません。周りに迷惑をかけない範囲で、短時間でメモってしまいましょう。

「始める」ときが一番エネルギーが必要であることは、力学の原理で証明されています。パッとひらめいた時のパワーを利用して、一気に書き付けてしまうことです。アイデアのフックをたくさん集めることで、より良い仕事ができるチャンスを増やすことができるのです。

今日のわかった

著者の堀さんとは、今度の東京ライフハック研究会Vol.8でお会いできそうです。楽しみです!

読書2012
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