I have an idea @ home / Julian Santacruz
以前は、人々の人生は「食うための仕事」に追われて、自分の使命を無理やり会社での仕事とシンクロさせようとしていました。好きな趣味があっても、個人でビジネスに昇華させることは難しく、趣味はあくまで趣味でしかない存在でした。
現在は様相が変わってきています。ソーシャルメディアの普及により、誰でもニッチのジャンルで旗を立てて、第一人者になれるチャンスがあります。応援してくれる人が、近所には数人しか居なくても、日本全国、全世界を相手にすれば、相当の数になり、ビジネスとして成立する可能性がでてきたのです。
優れたアイデアは常に想定外
現場に入る前に情報武装すると「自分のオリジナルのアンテナ」を下げてしまうことになります。それは独自のアイデアを殺してしまうことになりかねません。
まずは、本も読まず、ウェブで検索もしないで、「素人の目」を大事にし、「自分オリジナルアンテナ」に引っかかった発見や疑問を大事にするようにしましょう。
実はその情報こそ、アイデアの種になることが多いのです。
via: P112
良いアイデアは、ある時ふと思いつくパターンが圧倒的に多いと思います。お風呂や散歩、テレビを見ているときなど。とはいえ、偶然に降ってくるのではなくて、色々な情報を詰め込んで、アンテナが立っている状態にしておくことが必要です。
素人の素朴な疑問は、新しいアイデアを引き出します。「こんな感じの便利なものがあればいいのに」という、理想の商品やサービスの姿を想像するためには、専門知識はむしろ邪魔なのです。
スティーブジョブスや孫正義は、トップでありながら、消費者の代表のようなポジションだと聞いたことがあります。株主やお客さんといった、外部に対して責任を持つ立場にある企業のトップには、「最強の素人」の目線が必要です。
Idea Bulb / qisur
もうひとつのアプローチは、遠い未来を想定して考えるやり方です。遠い未来がこんなふうになっているのではないかとイメージして、そこまでの道のりを考えるやり方です。
こうすると、過去にとらわれずに未来を想定できるので、想像的なアイデアを生み出しやすくなるのです。
via: P171
過去から現在の流れの延長線上には、優れたアイデアは生まれにくいです。むしろ、ありえないような究極の理想像をイメージして、それを目指すにはどういうステップが必要なのかを考えていった方が、良いものが生まれます。
ロジック思考からは、新しいアイデアは生まれません。アイデアの誕生は、異種のものが組み合わさったりして生まれます。ロジックとは逆のプロセスです。ロジックとは、現状を整理し、新しく生まれたアイデアを実現するために、優位性を整理して、周囲に説明して納得させるためにあるものです。
Lodge 441 / Old School – Festival of Ideas courtyard painting / Madilworth
自己PRとセルフブランディングは違う
しかし、残念なのは、そういった取り組みの多くが「自己PR」であって、「セルフ・ブランディング」ではないということなのです。
僕(原尻)自身、広告代理店でブランド・マーケティングに七年間携わり、その後、アーティストのブランド・プランニングを設計してきました。そこで学んだのは、ブランドを作るということは「価値の創造」に他ならないということです。
この場合の価値とは、相手に評価されてはじめて生まれるものです。
via: P215
セルフブランディングとは、自分で自分をブランド化するのではなくて、第三者が口コミで広げてくれることで形成されます。「俺はすごいんだ、優秀なんだ!」と、いくら自分で自分をアピールしたところで、誰も話半分にしか聞いてくれません。自己PRだけで終わらず、アピールした内容を周囲のために実践して、少しずつ信用が蓄積されていきます。「知っている人ですごい人が居るんだよ。その人はね…」と、自分の居ないところで噂がたつことが大切です。だから、ブランド・マーケッターという他人のブランド化をお手伝いする職業があるのでしょう。
人は、頑張っている人を応援しようとします。頑張っている人の周りには、似たマインドを持った人が集まってきます。自分のスキルや人脈で、周りを応援して、自分自身も頑張ることで、自分の周りの「場」がドンドン盛り上がっていきます。結局、能力は人のため、場のために使わないと、口コミが発生せず、信用が蓄積されていきません。
ソーシャルメディアやブログが普及した現在では、見た目だけ取り繕っても、内情はすぐにバレてしまいます。噂もあっという間に広がります。逆に言えば、活動の履歴を長い間蓄積していけば、信用につながります。誠実な行動だけが、価値を持つのです。
refreshing ideas / s?za
まったく知らない人に興味を持つのは、何かというと、まさに「ライフワーク」。しかも、その人が持つ「未来へのベクトル」と「運動エネルギー」なのです。
そして、それが自分と一致する人にこそ興味を持つわけです。
via: P236
自分のビジネス・商売の話ばかりする人が居ます。もちろんビジネスも大切ですが、他の人が本当に知りたいことは、その人の趣味や社会活動、つまり「ライフワーク」です。お金が絡むとモチベーションが下がってしまうことは、心理学で証明されています。
ビジネスとプライベートの顔のギャップが魅力だったりします。「仕事が趣味」と言う方は、仕事の中にある、無報酬でやっていることや社会活動を分離してアピールしたほうが良いでしょう。
Mouthing off / db Photography | Demi-Brooke
スーパー個人の時代へ
今後、個人の評価は、「ブランド所有の消費力」から「創造力を携えた存在」へ、ますますシフトするでしょう。
ライフワークでの創造活動、表現活動を通じて形成される新たな個人の価値こそが、新しいキャリアを作り出す源泉となるのです。
via: P239
これまでは大手のメディアだけが、情報を広く伝えることが可能でした。しかし、現在では、個人でもアプトプットを広く伝えられるようになりました。ソーシャルメディアの普及により、個人でも爆発的な口コミを誘発できるようになったからです。
好きなことを突き詰めることで、ニッチなジャンルで第一人者になることは十分可能です。ソーシャルメディアを利用して、日本中、そして世界に目を向ければ、一家族ぐらい十分に養える収入に繋げることは可能になってきています。スーパー個人への道が開けたのです。
ただし、スーパー個人は誰にでもなれるわけではありません。前述したような、突出したアイデアと、応援してくれる「場」が不可欠です。ライスワークの他に「ライフワーク」を地道に活動することによって、人々の共感を得ることができれば、人生を元気にして豊かにできるはずです。
仕事を頑張るだけでは幸せになれないことは、多くの人が薄々気が付いていることでしょう。でも、何を変えたらよいかわからない。本書は、そんなモヤモヤ感を、払拭してくれる内容になっています。
ブロガー・ミーティング
本書の発刊に先立って、ブロガー・ミーティングが行われました。私もお誘いを受けて、参加させていただきました。本書はその席で献本頂きました。ありがとうございました。
小山さんと原尻さんは、私とほぼ同世代です。お二人とも、私とは全然ちがって、雰囲気が精錬されていました。東京の最前線で活躍されているオーラのようなものを感じました。
作者のお二人と、出版社の方、そしてブロガー陣で、ざっくばらんな会話で盛り上がりました。多くの気づきを頂きました。我々ブロガーは、「スーパー個人」に近い存在かもしれないという話題があり、グっときました。もっと自分を深堀して、世の中に貢献できることを、探していきたいです。
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