栃木県の地方企業のサトーカメラは、大手量販店をも凌駕するカメラ販売力を持つチェーン店として、ぶっちぎりの業績を続けています。「喧嘩上等のカメラ店が「ど素人」に教わった商売の極意」という記事を読んで、初めて知りました。
宇都宮市に本社がある「コジマ」を筆頭に、大手家電量販店がひしめき合う栃木県で、家電の主力商品である「デジタルカメラ」の販売シェアを持っているって、すごいことです。その理由は、サトーカメラが掲げた「使命」にありました。
Sahara / veroyama
蒸発してしまった市場で、なにが出来るのか?
人はなんのためにカメラを買うのかってことだよね。
すると、実はカメラを買ってるんじゃないってことが分かってくる。
行き着いたのが、たぶん、思い出をきれいに残すためなんだろうなっていうこと。
我々は儲けるために商売をやってるのかもしんないけど、突き詰めてみれば、そういうことのためにやっているんだろうなって。
写真業界は、フィルムの販売・現像・プリントという、高収益な業態を持っていました。キャノンの社長が「いくらカメラを売っても、フィルムが儲かるだけだ」と嘆いたという話があるくらいです。
ところが、デジタルカメラの普及により、人々はフィルムを買う必要がなくなってしまいました。パソコンと高速インターネットの普及により、印画紙にプリントせず、ネットで直接交換して、PCの画面で写真を見るようになってしまいました。レコード盤がCDに取って代わったのと同じように、市場そのものが蒸発してしまったのです。
フイルムの販売と現像・プリントで食っていた多くのお店や企業が廃業に追い込まれたと聞いています。それに対し、サトーカメラは自分達の商売を「思い出をきれいに残す」ことだと再定義して、企業努力を続けた結果、栃木県内のカメラ販売シェアナンバーワンを誇る業績を誇る、最強の地方企業に生まれ変わったのです。
No Choice, Love yourself. / ★ Nisa Yeh ★
「使命感」は、社員の力を最大にする
そして、「思い出をきれいに残そう」という言葉を掲げて、これからはこの言葉のもとにいくぞと大号令をかけた。
それまでサトーカメラはおれの独裁だったんだけど、これからはお客さんとこの言葉に従えと。
それが2003年頃の話。
フイルムをたくさん売れ!カメラをたくさん売れ!安く売れ!と、何でもかんでもNO.1を掲げて指示を出しても、社員は疲れるだけです。「なんでもやる」とは、結果的に「何もしない」のと同じなのです。「販売する」という目の前の作業が目的になってしまうと、上手く回りません。
サトーカメラは、一段上の「思い出をきれいに残す」という「使命」を掲げたことで、社員は自ら考えて行動できるようになりました。接客をはじめ、陳列、店舗のレイアウトなどすべての業務は、「お客さんの思い出をきれいに残す」というシンプルなミッションを向いて行います。結果的に安売りになっても、販売員が納得した上での自発的な判断であれば、疲れることはありません。
社員のモチベーションが向上して、社員全員の意識のベクトルが揃うことで、強烈な企業の個性を引き出すことに成功したのです。
Beautiful Camera / Evil Erin
大手が置き去りにした顧客を掘り起こす
カメラに詳しくて自分でなんでもできる人は、どこの店に行ったっていいんだよ。
でも、カメラなんて全然分からなくて、使い方を知らない素人が世の中には8割も9割もいるわけだ。
サトーカメラは、一眼レフのカメラを買うお客さんに、一時間以上も使用方法を徹底的に説明して、納得した上で購入してもらうのだそうです。一方、大手企業は安さを競うばかりで、購入した後のことはあまり関知していません。
デジタルカメラは広く普及しています。しかし、本当にデジタルカメラの機能を理解して、最大限に活用できている人はごく僅かです。デジタルカメラの機能を本当は聞きたいんだけど、聞くに聞けない人は多いのではないでしょうか?栃木県は田舎ですし、お客さんの年齢層も高めでしょう。
サトーカメラは、「思い出をきれいに残す」というミッションを掲げた結果、大手企業がすくい切れなかったニーズを、中小企業の小回りを生かしてかっさらったというわけです。
Camera date / ginnerobot
ブログとの共通点
このサトーカメラの話に共感した理由は、当ブログも同じような面があったからです。わかったブログは、去年の秋からアクセスを伸ばし、急成長しました。その理由は、いわゆる「アルファーブロガー」がポストしないような、話題としてはちょっと古い内容を、恥ずかしげもなくポストしてきたからです。
アルファーな方々の多くはイノベーターです。新しい話題を、すぐに記事をポストできることが「アルファー」たる所以です。しかし、世の中の大半の方は、半年後、一年後といったタイミングで「どれどれ」と興味を持ち始めます。しかし、そのころには情報は出尽くしていて、周りに聞くに聞けない状況になっています。私自身はかなり腰が重い人間で、マジョリティと同じタイミングで興味を持ち始めることが多いため、話題の第二波のタイミングと合っているのです。
私の使命は「みなさんの『わかる喜び』を応援する」です。何かをわかった瞬間って、すごく幸せですよね。私自身が「おお!」と感じたということは、知らない人はまだたくさんいるはずです。その人たちと「わかる喜び」を共有したいと考えて、ブログを更新してきた結果、多くの読者さんに読んでもらえるようになりました。
これからも、自分の信念のもとで、ブレることなく、読者さんの期待を裏切らないブログ記事をポストし続けていきたいです。
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