Psalm 34:18 (Clouded Heart) / Lel4nd
「デザイン」はデザイナーの「ひらめき」や「感性」から生まれるものではありません。正しく学べば誰でも使える「技術」です。
デザインとは、装飾や色使いなどの表面的なものだけではなくて、モノの「らしさ」を表現し、さらに「モノ」自体をも創り上げていく作業です。基本を学び、日々意識すれば誰でも身につくものです。自分のより良い将来を「デザイン」する習慣を身につけていきましょう。
センスとは何か?
誰かがつくったもの、何かに似ているもの、つまりアイデンティティとして独立性を保つのが難しいものを安易にアイコンに設定してしまうことは「デザインやブランディングという知性」、つまり「あなたらしさについての差別化」に対する無頓着さをさらしているのと同じことです。
ツイッターやフェイスブックのプロフィール画像を、適当に決めている方が多いことを、本書では憂いています。あの小さなアイコンが、その人のすべての印象を左右してしまいます。無理に背伸びをする必要はないです。「自分らしさ」をアピールできる画像を選ぶべきでしょう。
人は他人を見た目で判断しています。あなたも、ぱっと見の印象で人を判断していることが多いでしょう。風貌や話し方といった外見の良し悪しが、相手の印象の9割を決めていることが心理学で知られています。実際に、第一印象と実際の印象はそんなに違いません。人の感性センサーは抜群に優秀です。一瞬でその人となりを分析することができるのです。
あなたの「おはよう」は、どんなおはようだったでしょうか。
それはあなたという人物と日頃のつぶやき、そしてあなたのアイコンで「デザイン」されている「おはよう」なのです。
怖い顔をした顔写真のアイコンと、笑顔のアイコンで「おはよう」とツイートされるのでは、受ける印象がまったく違ってきます。アイコン画像から受ける印象がツイートの意味を変えてしまっているのです。デザインは人の心と行動を動かすことを理解しておくことが大切です。
Teen Craft: Design Your Journal! / San Jose Library
なりたい自分をデザインする技術
デザインセンスに自信のない人は、デザインとはデザイナーの「ひらめき」や「感性」から生まれるものと考えがちですが、技術ですから、正しく学べば誰でも身につけられるものです。
センスを磨く第一歩は、何よりもデザインを意識するところから。
デザインの基本は、「構図」「ライティング」「アングル」「色」「フォーカス」「トーン・マナー」です。どれも、基本的な部分は誰でも理解できるものです。本書に詳しく紹介されています。
先日、ツイッターやフェイスブック、当ブログで表示している、私のプロフィール顔写真を変更しました。以前は牛の被り物をして、真剣な眼差しで天を見上げる顔を、下から見上げるアングルで撮った写真でした。現在はフラットな目線で笑顔の写真です。
本書によれば、見上げのアングルは「格差」をつくりやすく、読み手が「ファン」の位置の目線になってしまうそうです。ブックマークコメントで、「今のアイコンは牛の被り物よりは良い。前はドヤ顔だった」というコメントを幾つか頂きました。以前のアイコンは牛の被り物にローアングルで、かなり高圧的で尖がったイメージがあったようです。
エッジが効いた方が目立ちますので、ブログの影響力を伸ばすという意味では成功だったのかもしれません。今後はリーチの広さではなくて、信用を蓄積していきたいと考えて、今の笑顔の画像に変更しました。かなり印象が変わったと思います。なりたい自分になるデザインでは、自分の意向をストレートにわかりやすく表現する必要があるのです。
Branded / derekGavey
デザインでブランドを育てる
頑張って宣伝しなくても、死にものぐるいで営業しても、結局は「(デザインも含めて)モノがいい」ものが選ればれていく時代になりました。
すでにあるものについて付け足して考えることではなく、あり方をよりよく変えるために、より望むべき姿に近づくために自らメスを入れるということもデザインなのです。
「○○日で儲かる、売れるコピーライティングとは」といったセールスマーケティングは、初速をつけるには効果がありますが、時間が経つにつれて、商品がもつ本質的な価値へ収束していきます。
もちろん、多くの人の目に触れるように、広告やプロモーションを打つ必要はあります。しかし、多大な広告費と煽りコピーで多くの人の目にとまっても、肝心の内容が悪ければ、信用は蓄積されません。穴の開いたバケツに水を貯めるようなものです。
デザインマーケティングとは「すでにでき上がっているものを、がんばって売る」話ではないのです。
常に、未来に向かって開いていること。
成長につながるシナリオの上を、きちんと計算された戦略が走っていること。
知らないだれかが、未知なる可能性がどんどんリンクして繋がり拡散されていくスキームを、もともと持っているから上手くいくといっても過言ではないのです。
デザインは「らしさ」を表現する技術です。しかし、そのらしさ自体がお粗末なものだったら、何をデザインしても上手く行きません。商品やサービスを企画する段階から「あるべき姿」を決め、成長のストーリーも含めて「デザイン」することが、本物のブランドを育てることに繋がるのです。
design wars – milgi’s – cardiff design festival-5902 / Burning Red
デザインで未来を作る
インナーブランディングというと難しく聞こえるかもしれませんが、要はビジュアルシンキング(思考を目に見える形にしてみること)を通じた「あるべき姿」のカしかです。
そう考えれば、迷い道にさしかかったときの取捨選択の助けになるものともいえます。
「あるべき姿」とは、企業マネジメントにおける「ミッション(使命)」に該当します。デザインとは、商品やサービス、法人・個人の「ミッション」を表現する技術と言えるでしょう。判断に迷った時は、ミッションに立ち返って考えればよいのです。
力強いミッションは、人々を牽引してくれる、モチベーションの源です。人々がなぜ仕事に疲れるかというと、目の前の仕事が「目的化」してしまうからです。しっかり理解したミッションの元であれば、やるべき使命や価値基準が明らかなため、疲れにくいです。
円卓型の人間関係でを描けば、圧倒的な量の情報が、瞬時につながり合っていくさまが見て取れます(中略)
「この人は自分の実力を引き上げてくれる」
「この人のいうことを信じることができる」
「この人のためにひと肌脱げる」こういった人間関係をデザインできることも「新しい潮流」に乗る大切なスキルであり、私たちはそこでも「創造性」や「センス」を問われているのです。
すばらしい商品・サービスを創り上げるには、人々が気持ちよく働ける職場環境まで遡って考えます。モチベーションや良い人間関係は、人々を導き、新たな未来をつくる原動力です。
Relay Runner / Photo Knight
これまでの日本の社会では、効率よく大量の商品を作って売るために、人々は細分化された専門的な業務をこなしていました。目の前の仕事を一生懸命にやる「部分最適化」です。しかし、作れば何でも大量に売れた時代は終わってしまいました。
検索エンジンやソーシャルメディアの台頭によって、人々は、自分達にとって重要な価値とは何かを議論し、自分にとって本当に必要なものを探せるようになりました。
クリエイティブな人々が創り上げた、ストーリーを持った商品・サービスが、人々のコンテクスト(文脈)と繋がることで満足し、さらに口コミで広がっていく…。ソーシャル時代のデザインを意識できるセンスが、これからの人材には求められていくはずです。
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