アメリカでは、年収数千万円のプロブロガーと呼ばれるブロガーが登場しています。その背景にはソーシャルメディアの台頭があります。ソーシャルの波に上手く乗ったブロガーは、次の時代のオピニオンリーダー候補になるでしょう。
これまでの実績は、さほど重要ではなくなってきています。以前は3年かかった話が、ソーシャル時代では半年で済んでしまうことが実際に起きています。やるなら、本当に今しかないと思います。
「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」
本書を読めば、北米で起きているソーシャルメディアを巡る状況を網羅できます。そのいくつかはほどなく日本にも上陸するでしょう。準備しておけば大きなアドバンテージになるはずです。
IMG_1865 / ShashiBellamkonda
ソーシャルブロガーの時代到来を確信
本書には「ソーシャルブロガー」「ソーシャルメディア・ブロガー」とい言葉が何度か登場します。明確な定義は無かったものの、文脈からすると「ソーシャルメディアを上手く利用して活躍するブロガー」の意味だと思います。
ソーシャルメディア上を流通して拡散する記事をポストできるブロガー「ソーシャルブロガー」の存在感が高まっていることに気が付いている方は多いはずです。時代の流れを考えても、必然です。
当ブログでも、これからは「ソーシャルブロガー」が主役に躍り出る理由で、「ソーシャルブロガー」という言葉を提案させていただきました。アメリカに住み、ソーシャルメディアの最前線を観察している本書の著者と同じ言葉を使い、同じことを考えていたことに、身震いしました。
これからは「ソーシャルブロガー」の時代です。間違いない!
Sherry Heyl gives props to Atlanta Media Bloggers at SoCon08 / MikeSchinkel
恐るべきプロブロガーの実態
アメリカには年収5,000万円以上を稼ぐ「プロブロガー」が現れています。彼らは正真正銘の「ソーシャルブロガー」です。本書には著者がプロブロガーJohnChow氏にインタビューした内容が掲載されていて、興味深いです。この部分を読むだけでも、本書を手に取る価値があります。
僕はいつもこう言うんだ。「お金がまったく入ってこなくても、ブログを書き続けられますか?」とう質問に対して「イエス」と答えられるなら、そのブロガーは正しい選択をしている、と。お金は後でついてくるよ。ブログはすぐに大きくなるから。
「アフィリエイトが存在しなくてもやれるかどうか」は私がブログやサービスを作り始める時の判断基準で、ほぼ同じことを言っています。お金の臭いがすると、人々のモチベーションは下がってしまうことは、心理学で実証されています。
本書では、プロブロガーになるための5つの条件が紹介されています。
- トピックを絞り込む 自分が得意で差別化できる分野を探す
- 継続は力なり 少しずつでも良いからとにかく毎日書く
- ブランドを意識すべし ブログもビジネスと同じ
- アクセスに興味を持つ リスニングはエンゲージメントに欠かせない
- ブログのSEO効果を知ること 上位に表示されるための工夫をする
1から3は特に重要で、その中でも「毎日書く」ことが一番重要だと考えています。ネット上で存在感を出していくには、自分がポストしたコンテンツがネット上に一定量存在することが大前提だからです。
毎日更新していれば、一ヶ月くらいでネタが切れてきます。そこからが勝負です。無理やりネタをひねり出すことによって、自分の隠れた能力を引き出すのです。これまでと同じことをやっていても、状況は変わりません。無理やりひねり出しすぎて、摩擦熱がプスプス鳴っているくらいの記事こそが、人々の共感を呼びます。
ブレインストーミングでも、一通り意見が出終わってからが本当の勝負であることは、ビジネス界では良く知られています。ブログも同じです。
SeaWorld Orlando Mommy Blogger Day! / Wendy Piersall
ソーシャル時代は「個」の時代
ソーシャルメディアは「個」が抜きん出る舞台であり、既存勢力との対決の場だ。
ソーシャルメディアの主役はマイクロインフルエンサーと呼ばれる、個人やその小さな集まりだ。そこには、他人と同じ自分よりも、他人と違う自分、つまり個性をどう周囲にアピールするかが重要になってくる。だから、まず私たち日本人に必要なのは「個」を尊重する精神を育むことだと、ひしひしと感じるのだ。
日本人が得意なキュレーター的なブログはレッドオーシャン化しています。そこで名を上げることはかなり難しい状況です。これからの時代は、キュレーターから一歩前に踏み出して「個性」を前面に出していくブログが活躍する時代になるでしょう。
「個性」とは「独自の視点」をもつことと同義です。自分の専門軸を意識して、専門軸を補助線にして、自分の視点から記事を書くことです。書籍や、商品、時にはニュースなどの「情報」すらもダシにして、自分を語るくらいの覚悟が必要です。
これぞまさに、ソーシャルブロガーの姿です。これからのソーシャルストリームは、ソーシャルブロガーの独壇場になるでしょう。
Becky Cortino Social Media Influence Matrix / BeckyCortino
ツイッター版のペイジランク?クラウトスコア
インフルエンサーが数々いる中で、それぞれの発信者がネット社会に及ぼす影響力を満足する方法などというものがあるのだろうか?それを数値化したらゲームみたいで面白いし、周囲にとっても影響力という目に見えないものが数字なったほうがわかりやすい。
クラウトスコア(klout)はご存知でしょうか?ツイッター上での活動を分析して、ソーシャルメディア上でのポジショニング・影響力を解析してくれるサービスです。
クラウトスコアは闇雲にフォロアー数を増やすだけでは増えません。逆にスパム扱いされて値が表示されないこともあります。ただフォロアー数を増やすのではなくて、クラウトスコアを上げていく努力をしたほうが健全です。
kloutのサイトでツイッターIDを入力すればクラウトスコアを知ることができます。PC用TwitterクライアントHootSuiteを利用すれば、全ユーザーのクラウトスコアを簡単に確認できるのでお薦めです。
アメリカでは、クラウトスコアの高いインフルエンサーに無料でサービスを利用してもらったり、イベントに招待するようなことが行われているそうです。ちなみに私のKloutスコアはこちらです。
“Big Pete” Ramagos, rigger at work on dam (TVA) Douglas Dam, Tenn. (LOC) / The Library of Congress
プロブロガーは職業として成り立つか?
プロブロガーを目指すなら、ニュース系とコンテンツ・クリエイター(創作)系、そして製品レビューを専門とするレビュー系の、三つのジャンルがあります。
コンテンツクリエイター系のブログのいいとことは、このような苦労をせずに、自分が得意とする分野で、存分に自身の魅力を読者に伝えて、リピートしてもらうコンテンツづくりに集中することができるという点だ。
私は、コンテンツ・クリエイター系を目指していることになりそうです。リピーターが付きやすい方が、「やりがい」があります。ニュース系は純粋に情報そのものを求めている人が多くて、労力の割にはリピーターが付きにくく、検索エンジンからの流入に頼ることになるからです。
レビュー系ブログは、提灯記事と認識されてしまうと、一気に信用を失ってしまいますので、細心の注意を払って運営する必要があります。ズボラな私には無理です^^
コンテンツ系をメインに運営して、リピーターが増えてきてから、他のジャンルの記事も少しずつポストしていく方法が、私には合っていると思っています。
私はプロブロガーを目指そうとは思っていません。今はとにかくブログを更新することが面白すぎて、毎日更新(平日だけ)し続けています。
Promo: Upset Kids (U7K) / Rodrigo Bertolino
世の中をひっくり返せ!
よくよく見渡してみると、いまあるネット業界の強者たちは、ほとんどネットやITバブルの黎明期に立ち上がった会社だ。それ以降に立ち上がってとんでもなく大きくなった会社というのはさほど多くない。その多くないなかでの筆頭が、アメリカではフェイスブックとツイッターだ。
いわゆる「アルファー」なブロガーさん達は、ブログ創世記からの、息の長いブログを運営されている場合が多いです。ドメインエイジという言葉があるように、長く運営しているブログは、SEO的にも有利なので、多くのアクセスを集めることができます。
先日、グルーポンが、ツイッターに寄生してボロ儲けをしているという話をしましたが、ブログもまたソーシャルメディアに寄生して、息を吹き返してきているのです。
ところが、時代はソーシャルです。ソーシャルメディアにうまく寄生することができたブログは、SEO時代では考えられないような、核爆発のようなアクセスを得られるようになりました。これまでは、一日1万PV以上あれば有名ブログと呼べたのですが、最近では普通のブログよりちょっと多いぐらいのアクセス数になってしまいました。
Gooleとフェイスブック、ツイッターを見ればわかるように、永遠というものは存在しません。時代が移れば、プレーヤーも変わっていきます。皮膚の細胞が新陳代謝でどんどん剥がれていくように、どの分野でも疑いようもない事実です。
最後に、アメリカのプロブロガー、ジョン・チャウ氏の言葉を借りて、本書評を締めさせてもらいたいと思います。
「好きなことを書け、とにかく続けろ」
コメント