ご当地ブームと地ビール醸造の規制緩和により、全国で地ビールが乱立している。
ビールの醸造は、化学式で割り切れるものではない。長年培った経験や知識による、微妙な調整が必要なのだ。
よって、本当においしい地ビールは少ない。「地ビールに美味いものなし」と言われるのはそのためだ。
しかし、先日飲んだ「八ヶ岳地ビール」は、本物だった。
小規模な地ビール屋さんならではの大胆なコクとキレ。大手ビールメーカーには絶対にまねできない。
場所は、山梨県の清里高原。
知人のお誘いで、八ヶ岳ビール工場の見学・試飲をさせて頂いた。
我々を出迎えてくれたのは、醸造長の山田一巳さん。
キリンビールで、ビール製造、開発の現場で活躍されてきた。
キリンの「一番絞り」、そして隠れた名品「ハートランド」、そしてその他多くの製品は、山田さんの手がかかっている。
もともとは現場の作業員だったそうだ。実際にビール発酵を目で肌で感じながら作業を長年続けられた。
その経験と技術を買われて、新商品開発部門の小型パイロット醸造装置へ異動。そこでビール醸造工程の全てを一括してハンドリングする貴重な技術を習得されたそうだ。
キリンビールを定年されたあと、八ヶ岳ビールで「自分のビール」を追求されている。 各大手ビールメーカーの技術者も、たびたび見学に来るというからすごい。
八ヶ岳ビールの設備の規模は、キリンのパイロット設備と同じようなものだとか。
山田さんの目が隅々まで届き、技術が一番発揮できるスケールなのかもしれない。
設備は素人が見てもすごく小さい。これなら少人数でも、手動で条件を変更できそうだ。
地酒のつくり蔵のような雰囲気だ。
めったに体験できない、熟成釜からの直接試飲をさせてもらった。
これは美味い?!!
これほど木目が細かい泡は見たことが無い。味がまろやかなのはの泡の舌感のためだろう。
山田さんは「この試飲で、みんな八ヶ岳ビールにハマるんです」と、笑顔で話しておられた。
普通のビールは、このあとろ過や加熱殺菌を行い、酵母の活性を止めてしまうため、どうしても味が変わってしまう。
しかし、八ヶ岳地ビールではろ過も加熱も行わず、そのままビン詰めする。試飲の味に限りなく近いビールを、家庭でも飲むことが出来るのだ。
>さらに続きます 八ヶ岳地ビールを飲みながら考えたこと
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