数年前、初めて山小屋泊まりで登った山が、燕岳だった。
夜明けに見た、槍ヶ岳や穂高の山々の美しさは、忘れられない。
ワンゲル出身の妻に、半ばお付き合いのような感じで登った。
確か一日目は天気はそれほど良くはなかった。
眺望もイマイチで、こんなものかなくらいな感じを持っていたと思う。
しかし、夜が明けたら、周りの風景は一変していた。
東の雲海の向こうから朝日が昇り、反対側の槍や穂高の山々を明るく照らしていく様子は、美しかった。
そして、身支度を整えた登山客は、その風景を見ながら表銀座の尾根を、槍に向かって続々と歩き出していた。
みんな、溢れんばかりの喜びの笑顔を浮かべていた。声も弾んでいた。
その様子を見て、すごく羨ましかった。「ああ~。俺もこの先を進んでみたい!!」
そして、泣く泣く下山した……。
私は決心した。
「いつかきっと、あの綺麗な山(槍ヶ岳)に登って見せるぞ」と。
今思えば、私はその時、まんまと妻の策略にハマってしまったのかもしれない。
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結局、次の年に槍ヶ岳を登山することが出来た。
そのときのルートは、上高地から横尾経由だった。
私が本当に辿りたいコースは、燕岳からの表銀座コース。
いつかきっと、表銀座から槍ヶ岳を目指してみたいな。想像するだけでもワクワクする。
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